
第八章 プロへ挑め 四話
「ご丁寧にありがとうございます。このチームの監督の神崎豪真です。こちらこそ今日はよろしくお願いします」
丁寧に挨拶をする豪真だったが、豪真が丁寧な対応をしていると、違和感が半端なかった理亜たち。
「へえ。その子たちが今日対戦するの? 初めまして。私は安間順子。今日はよろしくね」
マッシュヘアーで両耳にピアスをした、フレキシブルなイメージを持ちやすい選手、安間選手も優しく挨拶をしてくれた。
「「よろしくお願いします」」
声を揃えて覇気のある声で挨拶を返す理亜たち。
審判役の人は、さっきの理亜や智古と練習試合をした時の内田さんが、引き続き審判役をする事になった。
ちなみに、ルールは一般のバスケットと同じルールで試合をする事になる。
理亜たちは、豪真の元に集まり、各々のポジションを聞くことに。
「ではポジションを発表する。言うまでもないが、お前たちは五人しかいないから、全員がスターディングメンバーだ」
「「はい!」」
豪真の熱烈な眼差しに、気合を入れて答える理亜たち。
「それでは発表する。ポイントガードは加奈。シューティングガードは奏根。スモールフォワード理亜。パワーフォワード智古。センターは高貴だ」
「えー。俺シューティングガードかよ」
豪真の言葉に肩を落とす奏根。
「奏根ちゃんは前はどこのポジションだったの?」
「お前が言うんじゃねえ! コノヤロー!」
「うわー!」
キョトンとし首を傾げる理亜に対し、奏根は声を荒げ、理亜の首に絞め技をかけ、たまらず、理亜が叫ぶ。
傍から見たら、じゃれ合っているようにも見えるが。
「まったくお前らは。いいか。向こうはプロな上、控えの選手も揃っている。既にこっちが圧倒的に不利な立場なんだぞ。協力してやれよ」
やれやれと言わんばかりの豪真。
ちなみに奏根の元のポジションはスモールフォワードだった。
理亜にその座を奪われ、むしゃくしゃしていた所で、理亜が地雷を踏んだのだ。
「ほらキャプテン。いつまで理亜ちゃんいじめてるの? そろそろ気合を入れて試合が始まる前の激励でもかけてよ」
智古が、はいはいそこまで、見たいなノリで奏根を宥める。
「分かったよ。はあ。お前ら、円陣組むぞ」
奏根が理亜からやっと離れ、仕方なく、と言った感じで全員に円陣を組ませる。
理亜は、首元を抑えながら「おえー」と言いながら、涙目で円陣を組む。
「相手がプロだろうが素人だろうが関係ねえ。スポーツは勝ってこそなんぼの世界だ。ましてや、クリプバで優勝するなら、プロを打ち負かしてやるぐらいの気概と実力がないとな。それとも俺たちは思い出作りのために今、集まってるか?」
奏根が気持ちを切り替え、キリっとした目で、そう訴えかけると、理亜たち全員は、険しい表情で首を横に振る。
「ならやる事は一つだ。……勝つぞ!」
「「おおー!」」
奏根は力強く言の葉の最後に語気を強めると、理亜たちもその思いに応える。
「おー。気合入ってるねあの子たち」
「なら私たちも、やる事は一つだね」
「「……アンテロープス! ファイ! オー!」」
理亜たちの気合の入った声に、少し驚く、安間選手。 すると、番号二十二番のパレイ選手がアンテロープスの選手たちに発破をかけると、アンテロープスの選手たちは、鋭い眼差しで頷き合い、理亜たちに負けず劣らずの気合の入った声を上げる。


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