
第九章 実力差 一話
そして、選手一同は、コートの真ん中に集まる。
「それではこれより、アンテロープス対、シャルトエキゾチックの練習試合を始めます」
「「よろしくお願いします!」」
選手一同は、高らかと言う審判の言葉の後に、スポーツマンシップに則った挨拶をする。
いよいよ始まる練習試合。
相手は日本二位の実力を誇るプロ。
そんな相手に、理亜たちは、一体どこまで食らいつけるのだろうか。
ジャンプボールが始まり、高貴が飛ぶ。
しかし、パレイ選手が、審判の手で投げられた上空のボールを先に、はたきつけ、安間選手の手に渡される。
アンテロープスのスターディングメンバーは、ポイントガードが十五番の安間さんで、シューティングガードがショートヘアーで髪を中央から左右に分けた、一重瞼の三十番、三浦選手。
スモールフォワードが十四番の平下選手。茶髪のロングヘアーで幼い感じが少し残っているのが印象的だ。
パワーフォワードが欧米人とアジア人のハーフの四十二番、田中選手。
クリっとした目で、インド人の様な風采が感じられる。
最後にセンター、パレイ選手。ニュージーランド出身で、百八十センチの長身。
恰幅もよく、パワーでは、圧倒的に高貴が不利なのでは? と思わせる。
そして、安間選手にボールが渡ると、すぐに加奈が安間選手の懐にでも入り込むかのような徹底的なディフェンスをする。
加奈も気合十分と言った感じだ。
しかし、安間選手は加奈の股の間にボールを投げると、すぐに安間選手は加奈の横を通り過ぎ、コートでバウンドしたボールを手に取り、ドリブルする。
すぐに加奈が戻るが、安間選手はボード付近目掛け、ボールを投げる。
安間選手の行動を既に予知していたパレイ選手は、ノーチャージセミサークルからジャンプをする。
負けじと、高貴も跳躍する。
だが、高貴はそのボールが届かず、パレイ選手はそのボールをしっかり手に取り、空中で受け取ったボールを、そのままリングの中に叩きこむ。
アリウープが決まり、あちゃー、見たいな表情になる理亜たち。
決まると、パリイ選手がチームメイトとハイタッチしながら、自分のコートに戻る。
「気にすんな。取り戻すぞ」
奏根がそう言いながら、エンドラインから加奈にパスを出す。
「はい!」
加奈は後ろ向きになっておらず、十分、心に闘志を宿していた。
奏根たちは自分のポジションに戻り、相手のマークを外れようと動く。
加奈にも安間選手がプレッシャーをかける様なディフェンスをする。
ドリブルする側には、いつも片手を広げ、臨機応変に対応する姿勢が伺える。
すると、加奈が勢いよくドリブルしようとした。
その動きに呼応するかのように、安間選手も全神経を集中させ動き出す。
しかし、前に突っ込んでくるかと思った加奈だったが、フロトチェンジを仕掛けたのだ。
前に勢いよくドリブルするかと見せかけて、少しバックステップをする。
そのまま、ボールを片手に取り、豪速球でも投げるかのようなフォームでボールを投げる。


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