クリーチャープレイバスケットボール 第九章 実力差 七話

第九章 実力差 七話

 「私思うんです。何かまだ、アンテロープスの選手たちは実力を発揮してないんじゃないかって」

 「それ俺も思う。何か違和感ていうか、不気味さを感じるんだよな」

 加奈が肩から少し息をしながら不安そうに言うと、奏根がぶっきらぼうに答える。

 「プロならではなのかもな。お前たち学生だからこそ感じるプレッシャーなのかもしれない」

 豪真が真剣な表情でそう言う。

 「とにかく、第二クォーターからはディフェンスに力を入れるぞ。アンテロープスの選手たちのオフェンス力を引き出して分析する。取り合えず様子見だな。もちろんこちらのオフェンスも大事だ」

 「プロ相手に様子見か。監督も言うねえ」

 豪真が隣で小休憩しているアンテロープスの選手たちを険しい表情で見ながらそう言うと、智古がニヤニヤしながら答える。

 「どんなディフェンスで向かいますか?」

 高貴が豪真に単刀直入に聞く。

 「安間選手はペネトレイト出来る実力者だ。他の選手のオフェンス力もそれに匹敵するかもしれない。もし安間選手や他の選手がシュートコーナーに入ってきたら、理亜、智古、高貴でゾーンディフェンスで当たれ」

 「それって、アンテロープスの選手たち全員に該当するの?」

 「ああ。外のシュートも脅威かもしれないが、ますは中を守るぞ」

 智古が首を傾げると、豪真は言葉に熱量を入れて口にする。

 「基本はマンツーマンのディフェンスだけど、一人でも中に入ってきたら、シュートーコーナやエルボーコーナーの近くにいる、高貴、智古、劣情を持て余すふしだら女がゾーンで固めるか……」

 「そうだねえ。高貴ちゃんと智古ちゃんと劣情を持て余す……てっ、ちょっと!」

 奏根が真剣な表情で思案しながら言っていると、釣られて喋っていた理亜が、正気に戻ったかのように驚くと、奏根に食って掛かる。

 二人はギャーギャー言いながら喧嘩していた。

 それを見ていたアンテロープスの選手たちは「いやあ。若さだねえ」と感傷に浸る様に言う。

 「まったく。お前らは」

 豪真は呆れながら俯く。

 そこで、審判の内田さんが、笛を鳴らし、休憩の終了を告げる。

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