第十章 強者から 四話
「加奈ちゃん！」
「はい！」
すぐに加奈が理亜にパスを出す。
理亜は素早いドリブルで進む。
平下選手は慧眼の眼差しで理亜とマッチアップするためディフェンスに入る。
フロントチェンジからインサイドアウトし、内側に行くと思い込ませると、素早くロールターンをし、平下選手を抜いた理亜。
平下選手は抜かれた事に焦り、すぐに理亜の後を追う。
パレイ選手が立ちはだかり、高貴をスクリーンさせないために身体を張りながら上手く両立する。
高貴は何度も体で張って止めようとするが、パレイ選手はびくともしない。
「頑張れ！ 理亜！ 高貴！」
ベンチから豪真が真剣な面持ちで応援する。
理亜はゴール下にいるパレイ選手にシュートヘジテイションをかけると、パレイ選手の身体がビクンと動く。
だが理亜は、シュートするのではなく、バックチェンジからレッグスルーで抜く。
素早いドリブルに翻弄されたパレイ選手は、抜かれたが、ブロックにだけ意識を集中する。
ボールを手に取ったままジャンプする理亜。
負けじとパレイ選手も跳躍する。
背後からボールを弾き飛ばそうとするパレイ選手だったが、理亜はスクープショットをした。
しかも勢い良く投げ、パレイ選手が手を振るう前に高らかとボールは勢いよく宙に舞う。
どうだどうだ⁉ と誰もが入るか入らないか居ても立っても居られない様子で見届けるが、理亜と高貴、パレイ選手は互いにスクリーンアウトをかけようとしていた。
なんとパレイ選手は、理亜と高貴二人をまとめてスクリーンアウトをかけていたのだ。
体を張って圧力をかけるように、ゴール下に入らせないパレイ選手。
しかし、理亜が放ったシュートは見事決まる。
「はぁーー……ふうーー」
まるで心臓に悪い物でも見せられているかのように、ハラハラしていた豪真は安堵のため息を大きく吐く。
スマイルゼミ小学コース
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