
第十章 強者から 五話
試合は進み、第二クォーター、第三クォーターが終わり、点数は四十八対五十二で理亜たちが負けていた。
理亜の個人技や、奏根や智古の連携プレイ。
加奈のドリブルからの高貴に絶妙なパスを出すなど、様々だった。
そして、第三クォーターが終わった休憩時間。
「はあー、はあー」
高貴が必要以上に体力を消耗していたようだった。
パレイ選手のパワーを押さえつけながら、スクリーンアウトでポジションを確保しなければいけないので、対格差が違うパレイ選手の二倍以上のスタミナを消費していた。
「高貴。大丈夫か?」
「は、はい。大丈夫……です」
豪真が心配そうにして高貴に聞くが、高貴は顔から酷い汗を流し、呼吸を乱しながら、そう答える。
どう見ても、我慢しているのが見て取れる。
「ねえ高貴ちゃん。私とポジション変わる?」
智古が憂慮しながらそう提案する。
「大丈夫です。それにプロの方たちが相手だと、見えてこない物が見える気がしますし、このまま続行させてください」
高貴は苦しそうにしながらも、少し笑顔でそう答えた。
「……限界の先と言うやつか。分かった」
豪真は渋々納得し、承諾した。
「高貴ちゃん。私たちがオフェンスの時は、スクリーンアウトさせないように必ず点を取るから。だから安心して」
理亜が高貴の元に近付き、両手を握りながら真剣な面持ちでそう言う。
「理亜さん」
高貴は感謝の気持ちで眼差しを向ける。
「けっ、何が安心してだ。勝手な事言いやがって。でも、やるっきゃねえよな」
奏根は仕方ないな。見たいなノリで言う。
「はい! 私も微力ながらも最善を尽くします」
「何言ってんのさ加奈ちゃん。ここにいる私たちは微力じゃない。正真正銘の力と友情の集結だよ」
加奈が控えめにそう言うと、智古がウインクしながらそう答える。
「休憩を終わります! 選手の方たちは集まってください!」
審判役の内田さんが気合を入れて声を口にする。
「よし! 悔いのない試合をして来い! もちろん勝利とともにな」
「「おーー!」」
豪真が締めの言葉を言うと、理亜たちは力強く声を出す。
「にしてもあの子たち強いね。本当に高校生?」
「らしいよ。あの中の一人は去年のインターハイ優勝校のエースだって」
「え! マジで⁉」
「マジマジ」
岡本選手の情報網に、平下選手がビックリしていた。
「では第四クォーターを開始します」
アンテロープスの安間選手が岡本選手と交代していた。


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