クリーチャープレイバスケットボール 第十章 強者から 七話

第十章 強者から 七話

 六点差を付けられた理亜たち。

 残り時間は八分二十三秒。

 「高貴さん! 大丈夫ですか?」

 「はあーはあー、だい、じょうぶです」

 加奈が高貴の身が心配になり、真摯に声をかけるが、高貴は心配をかけないようにと、少し笑いながら言葉を返す。

 しかし、大量の汗と、人一倍の呼吸の乱れ方。

 明らかに限界が近かった。

 高貴は自分のポジションだけでもパレイ選手相手に奮闘しているうえ、ヘルプでディフェンスにも回り、オフェンスでは文字通りフルコートを走っている。

 「すいません。私が抜かれたばっかりに。でも大丈夫です。次は必ず止めます」

 加奈は反省点を自分で改善すると、加奈の前で力強く断言した。

 「ありがとうございます。心強いです」

 その思いに、高貴は、精神的に和らぎ、心なしか、体力が回復した様な感じだった。

 「私だって」

 加奈は呟く様に自分に何かを言い聞かせていた。

 加奈にボールが渡ると、すぐにドリブルして走り出す。

 この時点でゆっくりと一本を取るわけにはいかない。

 残り時間は八分を切り、六点差も付けられている。

 なので早急に点を入れ、すぐに奪い、点を取るしか、勝利の糸口がないのが現状なのだ。

 全員、それが分かっているからこそ、高貴に優しい言葉をかけている暇がないが、加奈は罪悪感を感じ、先程の言葉を述べたのだ。

 それは決意の表れ。

 加奈はすぐに岡本選手とマッチアップする。

 加奈は大胆にも強引に右から抜こうとした。

 すぐに岡本選手が右サイドを防ぐ。

 加奈はすぐさまフロントチェンジで左に持ち替えると、智古にパスを出そうとした。

 それを読んでいた岡本選手はすぐにパスコースを塞ぐ。

 しかし、加奈はパスを出すと見せかけ、ジャンプしながらボールを右手に持ち替え始めた。

 岡本選手はまさかシュートなのか、と思い急いでジャンプする。  シュートを打つ体制なのか分からない加奈のその体制は、フックシュートに近い物だった。

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