クリーチャープレイバスケットボール 第十章 強者から 十三話

第十章 強者から 十三話

 「高貴ちゃん」

 「……すいません。皆さん。私のせいで……」

 理亜が優しく声をかけるが、高貴は消沈している様子だった。

 「何がすいませんだ。お前があそこまで走らなかったらパスすら貰えなかったかもしれないのに、十分功労賞ものだよ。ナイスファイトだぜ、高貴」

 そんな塞ぎ込む高貴に慰労の言葉をかける奏根。

 その言葉に嬉しくなり、思わず泣いてしまう高貴だった。

 そして、コートの中央で列に並ぶ選手たち。

 「五十三対五十六で、アンテロープスの勝利です」

 「「ありがとうございました!」」

 審判の内田さんが、アンテロープスの勝利宣言をすると、選手一同は張りのある声で礼をする。

 「いやあ君たち強いね。もう一回試合したら私たち負けてたかもだよ」

 キャプテンの岡本選手が笑顔で理亜に握手を申し出る。

 「いやあ、それほどでもお~」

 デレ笑いしながら岡本選手と握手する理亜。

 負けたことなど綺麗さっぱり忘れたみたいに。

 すると、奏根がどこからかハリセンを出して、理亜の頭を叩く。

 「いたあ! 何すんのさ⁉」

 「何がそれほどでもだ。負けたんだぞ俺たちは」

 親父口調で理亜を叱咤する奏根。

 「分かってるよ。でも次は負けないから」

 理亜の純粋な言葉に意表を突かれたみたいに驚く奏根。

 他の皆も少し呆ける表情から一変し、笑顔になる。

 「ねえ君たち。高校卒業したらうちに来ない?」

 安間選手がぴょこんと現れて、そう言うと、他のアンテロープスの選手たちも「うんうん」と笑顔で言いながら頷く。

 「ええー! 良いんですか⁉」

 その話に飛びつく理亜。

 すると、再び奏根がハリセンで理亜の頭をシバク。

 「いたあ! もう奏根ちゃん!」

 「どんだけ天然なんだお前は。俺たちの使命を忘れたのか?」

 理亜はギャーギャー言いながら奏根に噛みつく勢いで迫ると、奏根は呆れた面持ちでそう言う。

 「あ! そうだった」

 理亜もクリプバの大会運営のルールを思い出すと、素っ頓狂な表情になる。

 「すいませ~ん。その話、二年後ぐらいまでキープ出来ませんかね」

 すると、智古が横からぬいっと出てきて、手をもみもみしながら、にまにました笑顔で言い出した。

 完全に卑しい考えがある様に。

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