クリーチャープレイバスケットボール 第十一章 謀略・仲間・友情 二話

第十一章 謀略・仲間・友情 二話

 「では改めて連絡を入れる」

 「ああ」

 銅羅がそう言うと、スフィアは電話を切った。

 スフィアは黒いフードを深くかぶりながら何故か泣いていた。

 一体なぜ?

 そして、アンテロープスとの練習試合が終わり、打ち上げも終わり、月日が経ち、半月後。

 「おかわり!」

 理亜は夜遅くまで奏根たちと練習し、お腹がペコペコだったのでご飯にがっつき、すぐにお椀のお米を空にした。

 その表情は、正に食いしん坊娘。

 お椀を郁美に突き出すように催促する理亜。

 「ごめんね理亜。もう今日の分のお米はないの。母さんの分、上げるからそれで我慢してね」

 郁美は切ない表情でそう言うと、理亜は「お母さんのは貰えないよ」と申し訳なさそうに言う。

 「姉ちゃん。僕の分上げるよ」

 明人は頬に笑みを浮かべながら自分のお椀に残っているお米を隣にいる理亜に差し出す。

 「明人は成長期なんだから食べなきゃ。それに自分の分が無くなったら、私が我慢すれば良いだけの話でしょ」

 理亜は優しい表情で明人にそう言う。

 こう言う、人に対しての気配りをする理亜はとても純粋な子だった。

 理亜がそう言うと、何故か郁美が涙腺に涙をため深く俯き始めた。

 「ごめんね。理亜。ごめんね」

 嗚咽を漏らしながら郁美が理亜に謝り始める。

 それを見た理亜と明人は心に小さい針でも通ったかのように心を痛める。

 「お母さん! 謝んなくていいんだよ。――ほら! 私なんてあんまり食べなくても、こんなにおっぱいだっておっきいいんだから! ちゃんと成長してるんだよ」

 理亜は焦りながら自分の胸を持ち上げ、ありったけの事実を口にする。

 お世辞でも気遣いでもなく、理亜は大真面目に語るのだった。

 「――ごめんね、二人とも……ごめんね」

 二人に涙を流しながら一瞥した郁美は、再び泣きながらありったけの感情を込めて謝罪する。

 「……母さん」

 明人はそんな郁美を儚げな表情で見て、下唇を噛みしめる。

 郁美は何故そこまでして、満足に食べされられない事に罪悪感を持っているのだろうか?

 その日の食事は悲しい一時だった。

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