
第十一章 謀略・仲間・友情 四話
「ならば理亜さん。せめて食費ぐらい私たちで賄わせてくれませんか? ご飯は元気な源とも言いますし」
そこで、高貴が両手をポンと軽く叩き合わせながら、笑みで、そう提案する。
「え、でも……」
理亜は再び申し訳ない気持ちで表情が暗くなり俯いてしまう。
「遠慮しないで理亜ちゃん♪ 実は言ってなかったけど、私たち金銭面に関しては、かなり裕福な方だから」
智古はウインクしながらなんてことない、見たいに涼やかに語ると、理亜が一驚する。
「え! 皆って、皆⁉」
理亜が驚いていると、奏根以外の豪真たちはドヤ顔でブイサインする。
何故か自分だけがのけ者とまで言わないが、大分ショックを受けた理亜だった。
「……じゃあ……お言葉に甘えて」
理亜はもどもどしながら、人差し指をツンツンつつきながら頼んでみた。
「たく。しゃーねえな」
奏根は頭をぼそぼそとかきながらOKした。
こうして、理亜たち一家は、食事だけ賄ってもらう事になったのだ。
その日の夕飯。
「あっ! 私の唐揚げ!」
「えっへへ。いただき」
豪真の家で食事をしていた理亜たち。
理亜は満面の笑みで豪真の皿の上に置かれている唐揚げを素早く箸で掴み、口の中に入れる。
豪真は、むむむむ、見たいな感情で怒りを堪えていた。
「本当にすいません。ご飯をごちそうになった挙句、理亜ったらはしたなくて」
「いや、構わない。これぐらい活発でないと、子供は子供ではなくなるからな」
郁美が、申し訳なさそうにそう言うと、豪真は頬に笑みを浮かべながら答える。
「所で、豪真さんは、結婚なされてるんですか?」
テーブルの上で団欒な食事をしていると、明人が素朴な疑問として、豪真にそう聞く。
「いや、独身だ。それがどうかしたのか?」
豪真はキョトンとした面持ちで首を傾げる。
「いえ、ただ聞いてみただけです」
「へえ、豪真さんは独身でいらしてるんですか。結婚願望とかありますか?」
納得した明人の横で郁美が、どこか少し嬉しそうな顔をしていた。
「まあ、無い事も無いが、私はこんな性格だからな。なかなか難しいと言うのが、正直な感想だ」
残り一個となった唐揚げを悲し気な表情でほうばる豪真。
「そんなに気難しい性格ではないと思いますよ。情に厚くていざと言う時には頼りになる、ナイスガイだと思います」
郁美は上品な面持ちで豪真を褒めちぎる。
「そ、そうか」
満更でもない様な表情で少し上機嫌になった豪真。
すると、明人の隣にいた理亜が、何かふと、思いついたかの様な表情で、明人の耳に寄る。


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