
第十二章 波乱か? 三話
「ご記入ありがとうございます。では、このまま進み、右横の扉からお入りください。そこからは、こちらのスタッフが対応させていただきます。それでは素晴らしい試合を」
受付のお姉さんは笑顔で親切に答え、理亜たちはそのまま、噴水の横にある両開きのドアにまで歩いていき、ドアを開ける。
すると、何故かやたらと無表情なスタッフの若い女性が待っていた。
一方通行の通路に、装飾も受付のフロントの場所と大差なかった。
「お待ちしておりました。神崎様、シャルトエキゾチックのメンバーの皆様方。選手並び監督の控室までご案内いたします」
若い女性がそう言うと、何故か、歩くのではなく、ローターが移動する見たいな移動の仕方をする。
「えっ、もしかしてロボット?」
智古が戸惑いながらそう言う。
「ああ。最先端の人工AIが搭載されたロボットだ。普通に歩くことも出来るんだが、ローターで移動した方がスムーズだと言う事らしい」
「どっちも変わんない気はしますが」
加奈がおどおどしながらそう口にする。
「どうぞ。こちらです」
ロボットのお姉さんが片開きの扉の前で止まり、ゆっくりとドアを開けてくれる。
「凄い! 一流ホテルじゃん!」
中に入ると、これまたフロントと変わらない内装でどこを見てもキラキラと光るベットやカーテン。
しかも、何故か、やたらと広く、二軒の住宅が建てられるのではないか? ぐらいの広さがあり、ベットは二十以上あり、お風呂やロッカー、娯楽のためのVIゴーグルなどのゲーム機器まである。
奏根と高貴以外が無邪気にはしゃぐみたいにあちこち駆け回る。
「たくっ、お前らこんなとこに来てまではしゃぐなよな」
「皆様、そんなに気に入られましたの?」
奏根がやれやれ、見たいなノリでそう言うと、高貴はキョトンとした面持ちで首を傾げる。
「もうー。こういう時にセレブってのは何でこんな反応なの? そんな事言える余裕があるなら、奏根ちゃんたちは敵情視察でもしてきて!」
理亜は駄々をこねる子供みたいに剣幕を奏根と高貴に突き立てる。
「何言ってんだお前? そう言うのは三下の役目だろ? 行って来い」
「ムッキ―!」
奏根がすっとぼけた表情でそう言いながら、理亜に指示を出す。
理亜はぶち切れ、まるで、熟年夫婦の嫁が、夫の浮気に気付き、激怒する見たいな感じだった。


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