クリーチャープレイバスケットボール 第十三章 クリプバ開幕 二話

第十三章 クリプバ開幕 二話

 理亜たちは豪真にどうしたら良いものか、催促するような目線を向けると、豪真はお手上げだ、見たいな感じで力の抜けきった首を横に振るう。

 こうして、波乱の幕が既に上がっていたのだ。

 キンコンカンコーン!

 すると、天井のスピーカーからありふれたアラームが鳴りだした。

 「大変お待たせしました。これより一回戦の試合を始めたいと思いますので、選手の皆さん、並びに監督の皆さんはコートにお集まりください。担当のスタッフがコートにまで案内いたします」

 先程のくじ引きの進行役を務めていた若い男が、試合開始前のアナウンスを入れる。

 すると、理亜たちはキリっとした目になる。

 「ねえ奏根ちゃん。どのみち私たち、クリプバで優勝するんだから一回戦も決勝戦も変わらないよ」

 理亜は頬に笑みを浮かばせながら奏根に自信満々にそう言うと、奏根は「愚問だったか」と先程まで怒り狂っていた熱が冷めたかのように深い息を吐き捨てながら頭をぼそぼそとかく。

 高貴たちも力強く頷く。

 「よし、行くぞ」

 豪真が気合の入った表情でそう言うと、理亜たちは「おー!」と握り拳を上に掲げ雄叫びを上げる。

 そして、理亜たちの部屋の扉が数回ノックされると、先程、部屋にまで案内してくれた人口ロボットが「それではコートにまでご案内いたします」と礼儀正しく()(しゃく)しながらそう言うと、理亜たちは剣闘士のような面持ちでついていく。

 フロアに戻り、中央の扉から入る理亜たち。

 一本通路の道を少し歩いて行くと、前から発せられる光の先から喝采が鳴り響く。

 加奈は緊張してきて、両手を握りしめ緊張を紛らわす。

 そして、通路を出ると、そこにはフェンスに囲まれたコートがあった。

 青や白、赤や紫のスポットライトが、交差しながら辺りをスターの台へと変幻自在に見せつける。

 周囲は五千人以上の観客で埋め尽くされている。

 まるでドーム並みの広さがある。

 天井の照明に照らされているコートはどこか重苦しい重圧感が漂ってくるかのようだ。

 「凄い!」

 「ええ。これほど圧巻させられる()(かん)は初めて見ました」

 理亜が目をキラキラ光らせる横で、高貴が呆気に取られたかの様な表情で周囲を見回す。

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