
第十四章 ラフプレーの嵐 一話
「それではこちらのベンチにまでご案内いたします」
人口ロボットのお姉さんが礼儀正しくそう言うと、ローラーでベンチにまで進んでいく。
理亜たちは色々な感情が込み上がりながら後続していく。
そして、フェンスの扉を開け、コートの横端にある長い椅子に腰かけた。
そのままジャージを脱ぎ、中に来ていた白いユニフォーム姿になる理亜たち。
すると、ワッとする様な喝采が観客たちの声から発せられる。
何事かと思った理亜たちは、その観客たちが声を上げている方向に訝し目を向ける。
理亜たちとは反対の扉から、ゼルチャートンソンチームらしきメンバーたちがふてぶてしい態度でこちらに向かってくる。
「それではゼルチャートンソンチームの皆様方、ご健闘をお祈りします」
理亜たちとは別の人口ロボットのお姉さんが親切にそう言いながらゼルチャートンソンチームのメンバーと智彦に会釈する。
「ふん、ロボット風情がバスケの醍醐味も知らんと言うのに」
智彦は人口ロボットのお姉さんを潮笑う。
「じゃまくせえな。どけよ!」
すると、ゼルチャートンソンチームのメンバーの一人が、イラつき始め、怒気のこもった声音でなんと、人口ロボットのお姉さんの身体を蹴る。
「あっ!」
それを見た理亜は、ギョッとした表情で見てしまった。
人口ロボットのお姉さんは、一切の動揺もする事なく転倒した。
「申し訳ありません。私の不適切な言動が元に、招いた結果だと言うのなら謝罪します」
人口ロボットのお姉さんは、自分が悪いわけでもないと言うのに、丁寧に謝罪した。
そう言って立ち上がると、キャプテンの佐久弥がいけ好かないと言わんばかりに舌打ちをする。
「ふん。心や体に痛みすら感じない鉄の塊なんて、私たちの憂さ晴らしになるのがお似合いだわな」
佐久弥は見下すかの様に冷笑する。
人口ロボットのお姉さんは、学習したのか、無言で会釈し、その場を後にした。
「くそ。胸糞悪いぜ」
奏根は不快感を露わにしたかのように口にする。


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