クリーチャープレイバスケットボール 第十四章 ラフプレーの嵐 五話

第十四章 ラフプレーの嵐 五話

 ペナルトギアをオンにしている状態なため、常軌を逸したスピード。

 観客たちは瞬き一つ出来ない程の物だった。

 加津地は強引に右斜め前にドリブルして加奈を押しのける様に左手で。加奈をブロックしながら前へ進んでいく。

 パワーは体格のいい加津地が有利なため、身体が徐々に後ろへ下がってしまう加奈。

 「くっ、ううぅ!」

 奥歯を噛みしめながら何とか踏みとどまろうとするが、パワー負けしてしまう。

 そこで、理亜がダブルディフェンスで加津地を抑えようと、加奈の元に走り出そうとするが、喜多がそうはさせまいと、理亜にスクリーンアウトをかける。

 理亜も相手のパワーに成すすべなく、行く手を阻まれてしまう。

 そこで等々、パワーに耐え切れなくなった加奈は、足がもつれ、後ろから転倒する。

 「うっ」

 呻き声を上げて、腰の痛みに耐える加奈。

 その好機を見逃さなかった加津地がフリースローラインからシュートを打つ。

 宙に舞うボールを、高貴がブロックしようとボール目掛けジャンプしようとするが、これまたパワーでねじ伏せる様に、八鹿が高貴にスクリーンアウトをかけ、ジャンプどころか、ボールに近付く事さへ許さなかった。

 加津地が打ったシュートは決まる。

 観客たちは熱烈な歓喜に満ちる。

 「くそ!」

 奏根はゼルチャートンソンチームのプレイに苛立ち、怒りを吐き捨てる。

 これで三対二。

 理亜たちが一点リードしてるとはいえ、何か不吉な気配が漂う。

 「こんなんで点が取れるなんてな。弱小チームかよ」

 加奈がボールを貰う時に、樽子が嫌味をぼそりと呟く。

 その声が聞こえてたわけでもないのに、何故か何かが癇に障り、奏根が樽子を睨みつける。

 すると、樽子は親指を首で横になぞると、なんと、不敵な笑みでその親指を下に立てる。

 奏根は頭にきたのか、仕返しに樽子に向け中指を立てた。

 「切り替えていこう!」

 そこで、智古が手をパンパン叩き、理亜たちを鼓舞する。

 「ええ」

 高貴は闘志を漲らせ力強く頷く。

 理亜たちも同じ気持ちだ。

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