クリーチャープレイバスケットボール 第十四章 ラフプレーの嵐 六話

第十四章 ラフプレーの嵐 六話

 加奈がボールをドリブルしていると、加津地はセンターサークルで待ち受けるかと思いきや、何故かゼルチャートンソンチームのメンバーたちは、オールコートで待ち受けていた。

 理亜たちのコートにまで既に向かい、ディフェンスをすると言う戦法。

 試合終了間際なら分かるが、第一クウォーターが始まって間もないと言うのに何故そんなプレーに転じてきたか?

 訳が分からないまま、加奈はそれでも気合を入れなおし、加津地を抜こうとする。

 理亜たちのコート場のエルボーサークルで、加奈はレッグスルーで右に加津地を誘うと、ロールターンで左から抜きにかかる。

 呆気なく抜けたかと思いきや、そこで事件が起きる。

 「うぐっ!」

 なんと、加津地は横から加奈にボディーブローを入れた。

 恰幅が良いため、その力は絶大。

 加奈は思わず呻き声を上げ、ボールを手放してしまう。

 それを目にした理亜たちは驚愕する。

 しかも、審判の中年の男は笛を吹かない。

 加津地はボールを奪うと、そのまま理亜たちのコートにまでドリブルし、レイアップでシュートを決めた。

 「おい! 今のどう考えてもファールだろ!」

 奏根は激怒し、審判に抗議する。

 だが、審判は奏根の態度をあしらうかの様に無視した。

 「てめえ!」

 そこで奏根は更に怒りがエスカレートし、事の発端である加津地の所に向かうと、加津地の胸ぐらを掴む。

 だが、加津地は憎たらしい表情で涼しい顔をしていた。

 「ピ! 何をしている!」

 すると、審判の中年の男が奏根の言動に遺憾な気持ちになり笛を吹く。

 「なんでこれで笛を吹くんだ! こいつはさっき加奈を殴ったんだぞ!」

 未だ痛みで立ち上がれない加奈の所に理亜たちが心配し声をかけるが、加奈は呻き声を上げたままだ。

 奏根はそんな状況を見て居てもたっても居られず、猛抗議する。

 「ピー! 白四番! テクニカルファール!」

 そこで、事もあろう事か、中年の男の審判が眉間に皺を寄せながら、奏根にテクニカルファールを言いつける。

 「なっ!」

 それを目にした豪真は思わず一驚する。

 理亜たちも同じ心境だった。

 「くそ!」

 奏根は不服ではあったが、コート場では審判の言う事が絶対不変のルールなのだ。

 それを理解しているため、奏根は悔しさと怒りを腹の内から爆発でもさせるかの様にコートの下で言い放つ。

 「フフフッ、なんて脆弱な選手たちだ。身も心も稚気(ちき)すぎる」

 そこで、智彦は陰湿な笑みで不気味に微笑む。

 「加奈!」

 そこで豪真はレフリータイムを取り、加奈の元に向かう。

 「大丈夫か?」

 「は、はい。何とか」

 憂慮する豪真の隣でむくりと立ち上がりながら痛みに堪える加奈。

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