クリーチャープレイバスケットボール 第十五章 あってないような対価の横行 二話

第十五章 あってないような対価の横行 二話

 理亜たちは、悔しそうな表情で熱狂している観客たちを一瞥する。

 「くそ! どうなってるんだ……」

 豪真がはらただしい思いで、そう口にすると……。

 「ありゃ審判は買収されてるね」

 「――! 由紀子さん……」

 豪真の背後から、ゆっくりと歩いて向かってきながら、なんと、由紀子が仏頂面で淡々と言ってくる。

 豪真は驚いて由紀子の方に視線を向けると、徐々に怒りが収まってきた。

 「見ていらっしゃったんですか?」

 「前にも言ったろ。気がかりだって」

 豪真が訝しい目でそう聞くと、少し笑みを浮かばせながら微笑む由紀子。

 「それで買収と言うのは?」

 「あんたそんな事にも気づかなかったのかい? まあ、目の前で教え子が痛めつけられたら思考も回らないか」

 豪真が怪訝な面持ちでそう聞くと、由紀子は淀みなく言う。

 「いたって普通さ。あのゼルチャートンソンチ―ムの監督は審判に金を握らせている。おまけにあそこまでガタイの良い選手を集めたって事は、腕力のある選手を選んだ。要は、ラフプレイに特化した選手たちだ。暴力を振るい、相手に致命傷を負わせるなら、腕力に尽きるからね。それにこの試合は仮にも闇のゲームだ。観客たちはああいった常識破りなプレーが好奇心を(くすぶ)るのさ」

 「……そんな……」

 流暢に語る由紀子の言葉で、豪真は絶望した様な青ざめた表情になる。

 二人が話している間にも試合は進み、気付けば二十二対六で負けている理亜たち。

 「このままじゃ。理亜たちは傷つくだけでなく、惨敗で終わってしまう」

 豪真はこれ以上見ていられない、苦虫を嚙み潰した様な表情で、両手で顔を隠し俯いてしまう。

 「あんたのチームに、エキストラロードの選手が一人でも居れば突破口はあるが、それは望み薄のようだね。でも、他の勝利の糸口ならあるじゃないか」

 「――! 是非教えてください!」

 眉を顰めながら理亜たちを観察してそう口にする由紀子の言葉に驚愕した表情で迫る様に聞く豪真。

 「それはあんたたちで考えな、この試合であたしに助言を受けようとしたら、クリプバの優勝はおろか、一回戦だって勝てやしないよ」

 由紀子はねっとりとした笑みでそう言うと、豪真はしょぼくれた表情になる。

 「仕方ないねえ。なら一つヒントをやるよ」

 それを見かねて由紀子は、良心に駆られたかのように渋々と口にする。

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