
第十六章 納得がいかない代償 一話
中央のコートに集まる前に、理亜が奏根の元に歩み寄ってくる。
「ねえ奏根ちゃん。私と練習試合した時のサイクロンストップとか使わないの?」
理亜が素朴な疑問をする。
「あれ使っても、あのクソ審判はバイオレーションなんて取らないだろ。おまけにオフェンスで使うにしても、フリーでなきゃ駄目だ。あれは使うまでインターバルが長いから、その隙にあいつらは俺たちを殴ってくる」
「……そうかあ」
奏根が眉を顰めながら語ると、理亜は納得し、渋々と言った感じで声を漏らす。
そして、第二クウォーターが始まり、高貴がジャンプボールでボールを弾き、それを受け取ったのは理亜だった。
すると、すぐに樽子が奪いに来る。
しかも、あからさまにボールを奪いに行くと言うよりも、理亜の顔面を殴りにかかる。
理亜は少し後ろに下がりドリブルし、躱すと、一気にスピードを上げ、樽子を抜く。
理亜は、そのままゴールに向けドリブルすると、今度は喜多が、中段蹴りを入れにきた。
その攻撃をフロントチェンジで左にボールを持ち替えながら、左に躱す理亜。
ゼルチャートンソンチームのメンバーたちは、理亜の躱し方に一驚する。
そのまま、他の誰も追いつけないまま、理亜は速攻で、ダンクを決めた。
「よし!」
豪真は思わずガッツポーズを取る。
しかし、理亜がダンクし終え、下に着地してきた所を、なんと八鹿が理亜の背後から後頭部を殴りにかかってきたのだ。
「理亜さん!」
そこで、高貴が一目散に気付き、理亜を押しのけ、自分ごと理亜と一緒に、コートの下に倒れる。
「ちっ! 邪魔なんだよ!」
だが、躱したかと思いきや、下で理亜に覆いかぶさって倒れている高貴に対し、足蹴りを強く入れる八鹿。
「うっ!」
痛みで思わず呻き声が出てしまう高貴。
「高貴ちゃん!」
それを目にした理亜は、驚愕する。
「ふん。虫けらが」
八鹿は憂さ晴らしを終えたかの様だったが、それでも気が晴れず、高貴を侮辱する。

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