
第一六章 納得がいかない代償 二話
智古や加奈も心配して、急いで高貴と理亜の元に駆け寄る。
しかし、その前にある一人の影が、八鹿の背後にふと、現れる。
ドカ!
「うぐっ!」
「くたばれカス!」
なんと、奏根が怒りの限界を超えていたのか、八鹿の横腹を足で強く蹴ったのだ。
まさかの不意打ちに痛みで苦痛な表情になる八鹿。
奏根はそれでも怒りが収まらず、コートの下で横たわる、八鹿の状態を仰向けにし、鬼の様な形相で胸ぐらを掴み、更に殴ろうと右拳を右上に掲げる。
「だめ!」
そこで、智古と加奈が慌てて奏根を止める。
「何で止めるんだ! こんなクズには鉄槌が必要だろ!」
暴れながら未だ怒りが収まらず殴ろうする奏根を智古と加奈が二人係で必死に呼びかけ身体を張り止め続ける。
「ピー―! 白四番! ディスクォリファイリング・ファール!」
そこで、審判の中年の男が、顔を真っ赤にし、怒気を込めた声音で、奏根に一発退場の烙印を刻む。
「――なっ!」
それを目にした豪真は、あまりの事に、驚愕する。
豪真だけでなく、理亜たちも脱力した様な表情で驚く。
奏根は、審判の言葉で我を取り戻し、一気に顔が青ざめ、絶望した様な表情になってしまう。
「離れやがれクソヤロー!」
未だ八鹿の腹の上で座っている奏根に対し、身勝手にブチ切れる駒井が、奏根の顔面に拳を叩きこみ、奏根を吹っ飛ばす。
一メートル半も殴り飛ばされた奏根は痛みに堪えながら呻き声を上げる。
「奏根ちゃん!」
理亜たちは急いで奏根の元に駆け寄り、奏根の状態を優しく起こす。
「くそ、なんでこうなった……」
奏根は鼻血と涙を流しながら悔しそうに嗚咽を漏らす。
「早く出ていけ! 試合の邪魔だ!」
少しすると、審判の中年の男が、声を荒げ奏根をどかすように激怒する。
理亜はそんな審判を睨みつけると、審判の中年の男は「ピー! 白八番! テクニカルファール!」とただ理亜が睨みつけただけで、自分に害をなしたと勝手に判断し、理亜にテクニカルファールを言いつける中年の男。
もう、怒りや驚きを通り越して、無になる理亜たち。
理亜は奏根の肩を貸し、泣いている奏根を、ゆっくりと豪真の居るベンチにまで運ぶ。
退場と言っても、クリプバの場合、会場から出てくのではなく、ベンチに居座る事が出来るのだ。

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