クリーチャープレイバスケットボール 第二十章 意地 七話

第二十章 意地 七話

 この窮地を、理亜たちはどうかい潜るのか?

 一方、理亜たちは豪真の介抱を受けていた。

 足や手のマッサージや、大量のスポーツドリンクを飲ませ、止血を止めるため、ガーゼなど持ってくる。少しでも体力を回復させようともする。

 「大丈夫か、皆?」

 「うん、まだ行けるよ」

 豪真の心配した言葉に、智古が息を荒くしながら笑顔で答える。

 だが、コートを縦横無尽に走り回っているせいもあって、理亜たちは呼吸が尋常ではないぐらい、乱していた。

 それはゼルチャートンソンチームのスタメンのメンバーも一緒だ。

 しかし、相手は控えの選手もいるため、この試合でスタミナ切れで試合を続行できないとはいかないだろう。

 むしろ、理亜たちが危険な立場にある。

 「なあ皆。やはり考えたが、この試合、棄権しないか?」

 「……監督」

 切ない声で憂いるような弱々しい声音でそう言う豪真に対し、加奈も気持ちがリンクでもしたのか見たいな反応をする。

 「私はこれ以上、お前たちが苦しむところは見たくない。さっきだって高貴が命の危険にさらされた。万が一の事が起こってしまうと思うと、私は……。だから十年後、控えの選手を増やし、メンバーを強化してもう一度出直さないか?」

 豪真は心血を注ぎこむかの様に、理亜たちに情に訴えかける。

 高貴は、先程の恐怖がまだ拭えきれてないみたいな複雑な面持ちをしていた。

 しかし……。

 「監督。私ならもう大丈夫ですし、皆様もこ程度の死地とも言えない、(きゅう)()程度では心はぶれないはずです」

 「……高貴」

 高貴は決意を固めたかの様な表情で言い切ると、豪真は儚げな瞳を高貴に向ける。

 そして、高貴はそんな決意の固めた顔で、理亜たちを見渡す。

 すると、理亜たちは互いの顔を見合わせ大きく頷く。

 「ねえ豪真さん。確かにこの試合は危険かもしれないし、十年後、メンバーを増員して挑むのも手かと思うよ。でも、私たちは今いるメンバーで勝ち進みたいんだ。結果も残して、思いでも作る。これが勝負の醍醐味でしょ?」

 理亜は明るくそう言うと、豪真は目の下に手を当て、涙を拭う。

 「……分かった。もう何も言わない。こうなったら私も覚悟を決める」

 豪真も決意の固まった表情で答える。

 理亜たちは満面な笑みで頷く。

 「みんな、本当にごめんな。俺が少しでもコートに出て、皆の負担を軽くできたら……」

 奏根は暗い面持ちで俯く。

 「大丈夫ですよ。私たちは少し距離が開いているだけです。奏根さんはどこに居ても、私たちの頼れるキャプテンですから」

 加奈が暖かい眼差しでそう言うと、理亜は「そんなの奏根ちゃんらしくないよ。常にどっしり構えて、威張ってくんないと」と無邪気に笑いながら言う。

 「俺は親父かよ」

 少し笑みを浮かばせ、奏根がそう言うと、理亜たちは微笑ましい様に笑う。

 「それでは試合を再開します!」

 審判の中年の男がそう言うと、理亜は「行ってくるね」と言い、豪真と奏根は力強く頷く。

 智古たちも身を引き締めてコートに戻る。

 

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