クリーチャープレイバスケットボール 第二十一章 痛みを超えて 三話

第二十一章 痛みを超えて 三話

 各々のチームがコートの中央に集まってくる。

 理亜たちは息切れを既にしている状態だ。

 そんな中、ゼルチャートンソンチ―ムのスタメンが佐久弥以外、メンバーチェンジしていた。

 どうやら、体力の限界を迎えていたため、致し方なくの決断なのかもしれない。

 そのメンバーたちの形相や恰幅は、先程までの加津地たちと大差なかった。

 ポイントガードが黒七番、()()()()()。身長百七十二センチ、体重七十五キロ。

 茶髪に恰幅の良い体に、常に張り詰めた表情をする選手。

 シューティングガードが黒九番。(つつみ)(りょう)。身長百七十センチ、体重七十四キロ。

 肩幅が広く、黒い短髪のヘアースタイル。鼻が低く、強面の選手。

 パワーフォワードが黒十一番。(みつ)(しま)妙子(たえこ)。身長百七十六センチ。体重八十二キロ。

 目元に皺が多い一重瞼。黒髪のショートヘアーの選手。

 センター、黒八番。(かた)(くら)(しゅう)(ゆう)。身長百八十二センチ。体重九十一キロ。

 膨れ上がった筋肉に、金髪の短髪。似合わない口紅をし、その一重瞼には、アイシャドーが施されていた。

 佐久弥たちは、敵意を込め、理亜たちを睨みつける。

 理亜たちは、鋭い眼差しを向け返す。

 「ふん、もう虫の息じゃねえか。そんなんで真面なプレーは出来ねえだろ? 諦めて私たちになぶられるんだな」

 佐久弥が薄ら笑いになりながら、理亜たちを蔑視する。

 「私たちは諦めないよ。勝って焼き肉食べるの」

 「……は?」

 理亜は天然なのか、既に焼き肉に心が奪われていたのか分からないが、頭の中は焼き肉でいっぱいだった。

 それに対し、佐久弥は訳が分からず、訝しい目で首を傾げる。

 「それではポジションに着いて下さい」

 審判の中年の男が、眉に皺を寄せながらそう言うと、理亜たちはポジションに着く。

 ゼルチャートンソンチームのジャンプボールはやはり佐久弥だった。

 「高貴ちゃん。私と変わって」

 「えっ? ですが……それでは」

 理亜が高貴の元に駆け寄りそう口にすると、高貴は心配そうな表情になる。

 「大丈夫、大丈夫♪ 私に策があるから」

 無邪気な表情でそう口にする理亜に対し、高貴は苦渋の決断でもするかのように、「分かりました」と言う。

 「何だお前か。今度こそ、あの上品な女を再起不能にしてやれたのに。あそこでリングの下敷きになってた方が、お似合いの末路だろうさ」

 「今更だけどさ、どう言う教育受けてたら、貴方たちみたいになるの? 親ガチャも子供ガチャも戦力外レベルじゃん」

 「……てめえ」

 ジャンプボールで向かい合う佐久弥が嫌味を口にしてくると、理亜は呆れてしまう。

 その理亜の論破に対し、佐久弥はギロリとした目を理亜に向ける。

 そして、第四クウォータ開始のブザーが会場中になり、観客たちの声量もヒートアップする。

【Dクリニック】

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