クリーチャープレイバスケットボール 第二十二章 辿り着いた頂き 一話

第二十一章 辿り着いた頂き 一話

 センターサークルで瑠偉は加奈を抜くため、左からレッグスルー、ロッカーモーションと言ったドリブルをしてくる。

 加奈は呼吸を乱しながらも、神経を張り詰め、瑠偉の動き全体を観察する。

 瑠偉は加奈から伝わるプレッシャーに耐え切れず、思わず、右拳を加奈の顔面に叩きこもおとした。

 加奈は腰を落とし、その攻撃を回避する。

 そこで、瑠偉はサイドハンドパスをする。

 その右の先には、亮が居た。

 亮はそれを受け取ると、スリーポイントシュートを打とうと、ジャンプする。

 理亜がそうはさせまいと、佐久弥を振り切って、亮の前まで走り、跳躍する。

 完全にブロックさせられると察した亮は、すぐ近くまで、理亜の後を追ってきた佐久弥にすぐさまパスを出す。

 フリースローラインからそのパスを受け取った佐久弥はジャンプしてフリースローシュートを打つ。

 宙に舞うそのボールを、高貴がブロックしようとしたが、周遊が、左拳を高貴の頬に向け振るってきたため、回避にしか頭が回らず、ブロックする事は出来なかった。

 そのシュートは決まってしまい、五十二対五十二の同点になってしまう。

 「人数の差が出てきたな。ラフプレイでこのまま追い込んでいけば、クククッ」

 智彦は不敵な笑みで口から悪臭を放っていた。

 「くそ、このままじゃ」

 「……みんな」

 豪真と奏根が、苦虫をかむ思いで現状を重く受け止めていた。

 理亜たちは、少しの休憩も許されず、高貴が加奈にパスを出し、そのまま敵陣のコートにドリブルして走っていく。

 瑠偉は、加奈から強引にボールを奪おうと、懐に入ってきた。

 それをロールターンで右に躱した加奈は、すぐに智古に片手でパスを出す。

 強く投げられたそのパスに、佐久弥が「うかつにそのボールに近付くな! 曲がるかどうかわからない!」と激を飛ばす。

 その言葉に瑠偉たちは従い、ボールではなく、理亜たちに的を絞り、攻撃し続ける。

 その攻撃を躱しながら、智古がボールを貰おうとし、妙子が猛攻撃をし続けたが、智古は殴られる事を覚悟で、加奈のパスを受け取った。

 パスを受け取った瞬間、妙子の蹴りが、智古の横腹に当たってしまう。

 痛みを堪えながら、智古はドリブルでリングの下に向かう。

 そこで、高貴がいつでもパスを受け取れるように、ゴール下で優位なポジションを確保しようとしていた。

 しかし、周遊がそうはさせまいと、何度も高貴の横腹に拳を叩きこむ。

 口から吐血でもするんじゃないか? と思うほどの猛攻。

 「ぐっ! うぐ!」

 それを、歯を食いしばって耐える高貴。

 智古はすぐにリングの下にいる高貴にパスを出す。

 それを受け取った高貴は左にフェイントを入れると、周遊が釣られ、思わず、ジャンプしてしまった。

 その隙を見逃さなかった高貴は、右にロールターンし、ゴール下からジャンプしてシュートを打つ。

 しかし、佐久弥が近付いていて、そのボールは背後から叩きつけられた。

 理亜は、佐久弥とマッチアップしていたが、同時に、奏根とマッチアップしていたシューティングガードの選手を同時に相手にしなければならない。

 おまけに奏根が抜けてから、ほとんど、理亜にはダブルチームがついていた。

 理亜は佐久弥をスクリーンアウト出来ず、今の結果になっているのだ。

 佐久弥が叩いたボールは、リングのボードに当たり、弾みで後方へ飛んでいく。

 そのボールをすぐにキャッチしたのが、周遊だった。

 「速攻だ!」

 周遊が声を荒げそう言うと、ゼルチャートンソンチ―ムのメンバーたちは、すぐに理亜たちのコートに向け走り出す。

 周遊が理亜たちのコートにいる、亮にパスを出す。

 理亜たちは追いかけたが、体力も限界を超えていたため、思うように走れず、パスを受け取った亮はスリーポイントシュートで決めた。

 点数は五十五対五十二。

 三点差を付けられ、理亜たちは絶望に近い状態だった。

 しかし、智古が「皆! まだまだこれからだよ!」と、気合の入った声で、理亜たちを鼓舞し、奮起させる。

 理亜たちは「うおおーー!」と怒号の雄たけびを上げ、自らを奮い立たせる。

 「ちっ、どこまでしぶといんだ」

 その様子を間近で見ていた佐久弥は、反吐が出る様な目つきで嫌味を口にする。

 残り時間は三分を切っていた。

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