
第二十四章 何時しかの約束 一話
試合が終わった次の日。
十一月一日。
すっかり秋になり、紅葉も枯れ、冬に突入する半月ほど前。
午前中、理亜は急いで、とある会場に向かっていた。
それは、理亜の親友の文音のインターハイの一回戦。
本当なら、八月上旬に開催される予定だったが、相次ぐ不審者による強姦や殺人事件が絶えず、落ち着くまで延期となっていた。
そして、ようやく始まるのだ。
理亜は、自分が居ない元チームメンバーに会えると思うと、ワクワクしていた。
文音からもメールで『今日は絶対勝つから! 学校で福音を楽しみにしていてね♪』と言った文面だったが、理亜は待ちきれず、学校をサボって、福岡に来ていた。
福岡の福岡市総合体育館で行われる女子インターハイ一回戦。
理亜は会場に着くなり、変装して忍び込むような感じで会場に入っていく。
マスクやサングラスを付け、おまけに白い付け髭や鬘までして、会場の上から、見た景色は圧巻だった。
既にテンションが高い、満席の観客たちや、一回戦を戦うであろう選手たちが、ウォーミングアップをしている。
一年前を懐かしく思い、感傷に浸る理亜。
そこで、理亜は、ウォーミングアップしている文音を見つけた。
上はティーシャツを着て、下にはジャージを履いている。
フリースローやレイアップシュートの動作を確認する。
そして、十分後、ようやく試合が始まろうとしていた。
対戦相手は、大阪薫英女学院高等学校の強豪校。
前回は準決勝でぶつかり、危なげなくとも勝ったが、果たして今回は……。
理亜は両手を組み、祈りながら、試合を見守った。
熱い応援をしたりと、理亜自身も砂川高校の勝利を祈っていたが……。
結果は、百十六対四十二の惨敗で終わってしまった。
敗因は、理亜が抜けた穴も大きかったが、一番は、対戦チームの一年生の新人二人で、金倉茜と金倉美紀と言う双子の選手が、群を抜いていた。
会場では、「あの千川理亜以上の期待の星かもしれない」「将来は彼女が、バスケ界を背負って担う存在だ」とまで豪語されているぐらい、凄まじい期待の込められ方だった。
両者とも、バスケのポテンシャルは勿論の事、その美貌に誰もが心を奪われるような感じ。
ルックスもよく、胸も大きく、どことなく理亜に似ている。
理亜は、試合の途中から涙が止まらず、どうしたら良いのか分からないくらい、絶望的な気持ちで見ていた。
そのまま、泣いて退場する文音たちに、どう向き合っていいのか分からずじまいでもある。
このまま会おうか、と何度も躊躇してしまい、結局合わない事を決めた理亜。
そして、試合が終わった後の、午後一時。
理亜は近くの公園のブランコリンの上で座り、小休憩をしていた。

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