
第二十四章 何時しかの約束 四話
他の部員たちは、なんのこっちゃ? 見たいな表情で、顔を見合わせていた。
「男が出来たんだろ♪ 隠さなくても分かるって♪」
「……はい?」
突如、上機嫌な様子で語りだす、京子に対し、素っ頓狂な表情になる理亜。
文音たちは口をあんぐり開けながら、呆ける様に聞いていた。
「だがな、理亜。いくらバスケ以上の恋人が出来たと言っても、私の目の黒い内は、断じて認めんぞおー。お前はまだまだ磨けば光る。恋愛なんて、高校を卒業してからでも遅くないんだ」
熱弁する京子に、口をあんぐりする理亜。
「はあー」
どっと疲れた理亜は、深い溜息を吐く。
京子は、どうしたのだろう? と首を傾げるが、文音たちはニヤニヤしていた。
「ま、どっちにしてもお前の意思が重要でもあり、優先される。だから、待っててやる」
結局、暖かい言葉をかける京子に対し、理亜は嬉しくなり「はい」と笑顔で答える。
何だかんだ言っても、京子は人徳者だった。
「それで理亜ちゃん。どうする? 今更、退部したと言っても、私たちは、全員、仲間だし、友達なんだよ。断る理由なんてある?」
文音はニヤニヤしながらそう聞いてくると、他の女子部員たちは、暖かい眼差しを理亜に向ける。
「うん! やろう!」
「おっしゃー! じゃあ、理亜は一人で、私たち全員、相手だな」
「ちょっとーー!」
理亜が元気よく頷くと、同調でもしたかのように、女子部員の一人が、意地悪そうな笑みでそう言うと、理亜は、たまらず、激しいツッコみを入れる。
こうして、理亜たちは、バスケを満喫した。
京子も途中から見ているだけで、身体がモゾモゾとし「よーし! 私も一丁気合入れてやるか!」と意気込んで、理亜たちの輪に入ると、理亜が「先生、嫁入り前にエネルギー使わない方が良いんじゃない? 皺くちゃのおばあさんになっちゃうよ」と能天気に口にする理亜。
すると、京子は、黙って理亜の背後を取り、両腕で、理亜の首をホールドする。
「なるかーーー!」
「うげーー!」
一件落着し、バスケを楽しんだ理亜たちは福岡から砂川に帰宅した。
飛行機や、電車に乗っている間でも、爆笑しっぱなしでもあったが。
そして、文音は、理亜ともう一度バスケがしたい、と言う約束を、どう言う形であれ果たせたのだった。


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