
第二十五章 つかの間のキャンプ 一話
日時が過ぎ、一回戦のクリプバから二日が経過した時だった。
理亜たちは、猛練習に励んでいた。
「クリプバの二回戦は五日後だ。それまで各自、体調を壊さず、万全なコンディションでな」
「「はーい」」
練習を終えた十七時三十分。
豪真は理亜の背中を押してストレッチの手助けをしていた。
二人一組でのストレッチ。
豪真の気に掛ける思いに、理亜たちは覇気のある声で返事をする。
「それにしても、一回戦があんな形で勝てるなんてな。良く分からんもんだな」
「そうねえ。それに、後で監督が言ってたけど、ゼルチャートンソンチ―ムのメンバーたちって、元は、中国のスラム街、出身なんでしょ。負ければ元の荒れくれた生活に逆戻り何て言われたら、死に物狂いで勝ちに来るんだろうけど、あれは無いよね?」
奏根がぼやく様に言うと、智古が高貴に背中を押されながら、伸びきった声音で喋る。
「ええ。勝つためには手段を択ばないなんて真似、スポーツマン所か、人として欠落していますし」
「如何なる理由でも、相手に敬意を払えない様では、人と同じ道に立つのは道理ではありません。加奈さんの言う通り、人として欠落していては、生き恥を晒している様なものですし」
奏根に背中を押されながら、加奈も伸びきった声音で正論を言うと、それに同意する高貴。
すると、理亜がふとした疑問を思いつく。
「そう言えばさ、ゼルチャートンソンチ―ムのメンバーたちって、あれからどうしたのかな? やっぱりスラム生活に戻ったのかな?」
理亜は憂いる様な声で、そう言うと、豪真が「それは分からないが、生きていればチャンスはあるさ。お前たちがいい例だ」と和むような声音でそう言うと、理亜たちは照れ笑いする。
しかし、佐久弥以外のメンバーたちは、もうこの世に居ない。それだけでなく、テレビやネットにすら報道されていなかった。
これも、銅羅の権力によるもの。
理亜たちに知る術はない。
ストレッチも終え、着替えを終えると、帰路につこうとした理亜たち。
しかし、あるハプニングが起こる。


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