
第二十五章 つかの間のキャンプ 二話
「すみませんが、明日から二日程、砂川市立総合体育館は使用できません」
「「え!」」
帰る際、受付の所を通り過ぎようとした理亜たちに、そう声をかけた職員。
理亜たちは、まさかの言葉に一驚する。
「それはまた何故?」
豪真が訝しい目でそう聞く。
「実は、空調や設備の照明、コートの点検やメンテナンスなどしなくてはいけませんので。業者の方たちも人材不足らしく、少数で作業を執り行わなければならないのです。誠に申し訳ありません」
職員が申し訳なさそうに喋り終えると、肩を落とすように落ち込む理亜たち。
「そっかあ。ねえ豪真さん。他に使える体育館とかないの? いつもの権力で、どうにでもなりそうじゃない」
理亜は落ち込んでいたかと思いきや、一変して、ニヤニヤしながら豪真にそう聞く。
「そうしてやりたいのはやまやまだが、生憎、私も凡人でな。そんな行使する力量は無い」
「えーー」
豪真は淡々とそう言うと、落ち込む理亜。
「それで、監督。他に使える所は?」
加奈がおどおどしながらそう聞くと、豪真は「他の施設では、予約が出来ないんだ。滝川の総合体育館でも、昼や夕方に予約制はなく、夜からは社会人たちの貸し切りだ。私にもどうにもできない」と言いづらそうにして喋る。
「二日か。どうするよ。ストリートバスケでもやるか?」
「それも無理だな。明日から二日にかけて、豪雨らしい」
「「えーー」」
奏根が何となく話を振る様にして提案してみるが、豪真はそれも無理だ、と口にすると、理亜たちは声を揃えて、テンションが下がりだす。
しばらく、沈思黙考する理亜たち。
「ねえ、どうせなら、思い切って休みにしない?」
「休み?」
「それですと、クリプバの試合に向けての練習が疎かになるのでは?」
ひょんなことから、見たいなノリでそう皆に問いかける智古に、加奈がキョトンとした面持ちで首を傾げると、高貴が、不安そうな表情になる。
「確かにそうだけどさ。でもポジティブに考えたら、二日休んだだけじゃ、二日練習したのと大差はないと思うんだよね。初心者の人が二日、練習をしないのとは違うわけだし」
にっこりスマイルでそう言う智古に、一同は怪訝な面持ちで顔を見合わせる。
「まあ、一理あるか」
「でしょ。それで私から提案なんだけど、私の家で、室内キャンプしない?」
豪真がそう言うと、智古はテンション高めでそう聞いてくる。
「え! 家でキャンプ⁉」
「うん♪」
理亜が驚愕すると、智古は満面の笑みで答える。


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