
第二十五章 つかの間のキャンプ 八話
そして、焼きマシュマロを食べ終えた理亜たち(ほとんど理亜と智古)は、テーブルゲームや、テレビゲームなどして、楽しく過ごしていた。
「智古さん。トイレを貸してもらって良いですか?」
「うん、良いよ良いよ。――あっ! そうだ、ちょっと待って……」
お通じがきた高貴に対し、智古は快く承諾するが、ふと、何かを思い出した、みたいに急いで二階に行くと、一分もせず、戻ってきた。
「高貴ちゃん。これ使って」
「「――えっ! 室内キャンプなのに⁉」」
笑顔で両手に手にしていた、キャンプ用のトイレをリビングのど真ん中に手際よく設置し、話を高貴に振ると、高貴だけでなく、理亜たちも一驚する。
「しかも、スツーレ、簡易トイレですか?」
「そうだよ。ささ、高貴様。狭い所ですが、どうぞ」
「――うっ!」
加奈が呆れて解説すると、智古は元気よく答え、すぐに、メイドの様な仕草で、高貴に簡易トイレを使うよう促す。
その振りに、たまらず高貴は、お腹を押さえ、何か痛みの様なものに耐える。
「大変! 急いで使って!」
慌てる智古に、豪真が大きくため息を漏らす。
「あのなあ、智古。室内にトイレが既に設置されているのに、わざわざ簡易トイレを設置して、そこでしろと言うのは、どうかと思うぞ」
優しく説得する豪真に対し、智古は「でも、一応、キャンプって程だし」と、こいつ何言ってんだ? 見たいな不思議な形相をする智古だった。
「ね、ねえ智古ちゃん。一応豪真さんもいるし、リビングのど真ん中で、年頃の女の子に、簡易トイレを使わすのは、ちょっと、ねえ」
バツが悪そうに、高貴に室内トイレを使わせてあげて、と迂遠に申し訳なさそうに口にする理亜。
「そ、そうだよな。高貴だって、女なわけだし」
奏根が、珍しく動揺しながら理亜に賛同する。
高貴も蹲りながら、コクコクと首を小刻みに縦に振るう。
「そっかあ。じゃあ、豪真さんが室内トイレで籠っていれば、高貴ちゃんも、ここで踏ん張れるでしょ♪ ほら、万事解決♪」
「「なんでそうなる!」」
少し、上を向きながら、人差し指を顎に当て、ポワーんとした面持ちで思考を巡らせた智古は、手をポンと叩き、何か閃いた仕草で、ニッコリスマイルでそう言うと、理亜たちが盛大にツッコむ。
それはそれとして、高貴、……大丈夫?
「うっ、ううぅー」
まるで陣痛がきた見たいなリアクションで蹲っていた高貴は限界に近かった。


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