クリーチャープレイバスケットボール 第二十六章 闇の究明に向け 二話

第二十六章 闇の究明に向け 二話

 落ち着かない様子で輝美の作業を見終えると、輝美は、善悟の近くに駆け寄り「俺たちに近付く公務員が来たら、剝ぎ取っといてくれ」と言い残し、輝美は、何の躊躇もなく、演説台の上に上る。

 意味が分かないようで、伝わった善悟は「ちょっ! おい!」と慌てた様子で輝美を止めようとするが、輝美は聞く耳を持たず、演説台の上に上がった。

 そして、拡声器のスイッチがオンになる。

 「ここに住んで居る市民の人たちは、ここ二カ月前以上からの事件に疑問を持っているはずです! 何故、連続殺人が後を絶たたないか⁉ 何故、強姦まがいの事件を引き起こし、手足をめった刺しにする事件が起きているのか⁉ そして、警察や政府は、何の対策もせず、のうのうとしているのか⁉ 皆さんは何も感じませんか⁉」

 ただでさえ、拡声器で大きいはずの声量に、上乗せするくらい、語気を強め、道歩く市民の人たちに、訴えかける輝美。

 善悟は、恥ずかしくなり、思わず赤面してしまいそうになる気持ちを、グッ、と堪える。

 すると、夕方のせいもあったせいか、そこそこの人が、輝美の言葉に耳を傾け、止まり始めた。

 すると、輝美は、それが好機だと踏んだかの様に、熱く演説し始める。

 「良いですか! 皆さんは今、何気なく日常を謳歌していたとしても、いつどこで、その無差別とも言える殺人犯や強姦に、命を狙われてもおかしくないのです! なので私は、その悪の根源とも言える組織を特定しました! 今から、その組織の名を発表したいと思います!」

 誰しもが、今、話題になっている連続殺人鬼や手足をめった刺しにする事件の推測は、三度の飯より気になる話題。 

 なので、市民たちは、プロの専門家だろうが、ただのミーハーだろうが気にせず、遊び半分で集まり、輝美の言葉を待っていた。

 感心を引き付けたせいか、市役所の中から、公務員が出てきて、一大事でも起きているかの様に、慌てながら輝美を止めようとするが、善悟は指示通り、身体を張って、区役所の人間たちを止めようとする。

 「押すな! 今大事な話をしてるんだ!」

 「今すぐやめなさい! そんな根も葉もない憶測で、市民の人たちを不安にさせてはならないんだぞ!」

 真っ当な区役所の人間たちの言葉を、心を痛めそうにしながらも、止めようとする善悟。

 その様子を何故か、輝美は真剣に見ていた。

 まるで、品定めするような感じで。

 「……では、発表します! その、組織の名とは!」

 真剣な表情になる輝美。

 その横で、数人の役所の人間ともみ合っている善悟。

 いつの間にか、五十人もの集まった市民たちは、輝美から目が離せずにいた。

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