
第二十六章 闇の究明に向け 四話
明らかに、尋問程度で終わる、とは微塵も考えられない人相の悪い男。
そして、目的地の場所に着いた輝美と善悟。
場所は、砂川で、廃墟された自動車の整備会社だった、
殆ど、黒ずんでて、今にでも崩れ落ちそうなイメージの場所。
「歩け」
「ひっ!」
善悟が人相の悪い男の背中を軽く突くと、人相の悪い男は、戦々恐々としていた。
中に入り、シャッターを閉め、すぐ近くにあった、古びた椅子を、整備室のど真ん中に置いた椅子に、善悟が、人相の悪い男を雑な手つきで座らせる。
「じゃあ洗いざらい吐いてもらうぞ。お前は、クリーチャープレイバスケットボールの存在を知ってるな?」
鋭い目つきで、人相の悪い男を詰問する輝美。
「あ、ああ。知ってる」
「なら、ここ数カ月から数年前に起きてる、連続殺人や、強姦まがいの犯行もか?」
「も、もちろんだ」
輝美と善悟が交互に質問して、人相の悪い男は、びくびくしながら答える。
「殺人犯や、強姦まがいの犯行の犯人の心当たりは?」
「い、いや、ない。俺は三下だから、そう言う事に付いては知ってることは何もない」
輝美の鋭い眼光に、フルフルと身体を震わせながら口にする、人相の悪い男。
しかし、一瞬だけ、目を逸らした事を、輝美は見逃さなかった。
すると、輝美は懐から、拳銃を取り出すと、迷う事無く、天井に一発だけ撃つ。
「――ヒッ!」
人相の悪い男は、恐々として、身がすくむ。
「良いかよく聞け。お前が三下だろうが幹部だろうが、どうでもいい。今俺たちに必要なのは、主犯と実行犯なんだよ。お前の命がここで潰えようとも、俺たちはどうでもいい。この中で今デメリットを背負ってるのは、お前だけなんだ。この言葉の意味が分かるか?」
容赦なく、威嚇する輝美。
人相の悪い男は、足から手にかけて、ガクガクと震えが止まらないでいた。
「おい輝美。これ始末書ものだぞ?」
善悟は落ち着いた声音で撃ち抜かれた天井を見て口にする。
「……悪い。だが、次からは悪いじゃ済まないかもな」
輝美は少し反省する色を見せたかと思いきや、急に凄みを利かせるみたいにして、人相の悪い男の額に、銃口を向けると、善悟は「かもな」と流暢に口にすると、輝美と同じく、険しい表情で、懐から拳銃を取り出し、銃口を人相の悪い男の額に向ける。


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