
第二十七章 第二回戦、開始 二話
そして、時間が迫り、案内係の人口ロボットのお姉さんが、会場にまで理亜たちを案内する。
案内された場所も、ゼルチャートンソンチームと対戦した会場と全く同じ場所だった。
会場中の客たちは、熱のこもった熱気に包まれていた。
二回目だったが、それでも前回のトラウマレベルの試合が脳裏を過った理亜たちは、少し警戒していた。
そして、審判の男は、この前の小太りの中年の男と違い、奏根と豪真が、くじ引きする時に居た、会場のお兄さんだった。
それを見た、奏根と豪真は、少しばかり安堵した。
この前の様な、不正がなければいいのだが、とそれでも豪真は、心の隅で思い込んでしまう。
理亜たちがベンチにまで着くと、案内係の人口ロボットのお姉さんは、「最高の試合を期待しています。頑張ってください」と声をかけ、丁寧にお辞儀すると、理亜たちも「「頑張ります!」」と声を揃え、丁寧にお辞儀する。
ジャージを脱ぎ、中のユニフォーム姿になろうとして来た時だった。
会場中から鳴り止まない喝采を浴びて、登場したのは、理亜たちの対戦チーム、ダイオンジチーム。
理亜たち以上の声援を受けたのには訳があった。
「えっ! 十年前のクリプバの決勝戦進出チーム⁉」
青色のジャージ姿で上品な歩き方をして登場してくるダイオンジチーム。
五人のダイオンジチームが登場しながら、理亜は豪真から仕入れた情報に驚愕する。
「ああ。ただ十年前と違い、メンバーは再構成されている。しかし、クリプバで決勝戦進出しただけでも、この人気ぶりだ。メンバーが変わっても、チームの名のブランドは淡くはならない」
鋭い眼差しをダイオンジチームに向けながら豪真は淡々と語ると、理亜は、ホゲ~とした気の抜けた表情で、ダイオンジチームを見ていた。
「それではダイオンジチームの皆様方、ご武運を祈っています」
人口ロボットのお姉さんが、にこやかな面持ちでそう言うと、会釈する。
「ええ。ここまで引率していただき、ありがとうございます」
「「ありがとうございます!」」
監督とみられる、グレーのスーツを着た白髪のシニアぐらいの紳士的な男性が、穏やかな声音でそう言うと、ダイオンジチームのメンバーたちは、覇気のある声でお礼の言葉を口にする。
シニアぐらいの男性、洲上達樹と言う監督が、にこやかな笑みでダイオンジチームに振り向く。
「さて皆さん。今回の相手は強敵です。ラフプレーを容認されていたあの試合にも関わらず、彼女たちは辛勝しました。なのでくれぐれも、油断ならない様、気持ちをしっかり持ってください」
「「はい!」」
達樹の言葉に刺激されたダイオンジチームの選手たちは、そう言うと、ジャージを脱ぎ、中にあらかじめ着ていた青いユニフォーム姿になる。
理亜たちは、訝しい瞳をダイオンジチームに向ける。


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