
第二十七章 第二回戦、開始 三話
「ではスタメンの皆様方! コートの中央にお集まりください!」
審判のお兄さんが、時計を確認し終えるとそう言い、会場中にブザーが鳴る。
理亜たちは、コートの中央に、気合を入れた面持ちで集まりながら、ペナルトギアをオンにする。
黒い無数の縦模様が浮かび上がると、すぐに徐々に消えていく。
「へえ。少しは骨のある相手みたいじゃん。まあ、私が楽できればそれでいいじゃんけど」
背番号、七番、ショートヘアーの茶目っ気がある様な顔つき。
いつも眠そうな目をしている。
背が百六十四センチ、体重四十八キロのちょっと小生意気なシューティングガード、新方静香がこれまた小生意気に、理亜たちに口にする。
「あっ?」
それに対し、少しカチンときた奏根。
「うわあー。つるペタじゃん」
「さっきから喧嘩売っとんのか我!」
静香が、奏根の胸を見て、まるで手の打ちようがない、見たいな諦めたようなノリで口にすると、奏根は、大分、カチンと来ていた。
「ちょっと奏根ちゃん。この前みたいに退場にだけはならないでよね」
「お、おう。そうだな。……落ち着け俺、落ち着け俺。試合が終わったらぼろくそに言ったればいいんじゃあ。勝利と共にな」
宥める様に智古がそう言うと、奏根は、若干焦りながら口にし、少しすると、自分を言い聞かせる様な素振りを取る。
「奏根ちゃんって、毎回、胸の事で弄られるよね?」
「まあ、奏根さんから見たら、ただ不快な思いをしているだけかと思われますが」
理亜が、高貴の耳元に寄り、ひそひそ話をし始める。
「いやいや、案外、弄られる事で、快感を感じてたりして。ああ見えて実はドMとか」
理亜が、悪だくみでも考えているかのように、笑みを浮かべながら口にする。
「ふ~し~だ~ら~おん~な~」
そこで、奏根が気配を消しながらも、怨霊が恨みを持って人間の背後に立ったみたいな絵面で、青い炎をメラメラと立ち上げながら、理亜にスリーパーホールドをかける。
「うげえーー!」
恨みを込めて、スリーパーホ―ルドをかける奏根に対し、理亜は溜まらず藻掻き苦しむ。
「この子たち、試合する気あるじゃん?」
静香が呆れて、隣にいる青のユニフォーム背番号四番、霧島順子にそう口にする。
「アッハハハッ、そう言うなよ静香。試合前は誰だってピリつくもんだ。あの貧乳娘は、八番にちょっと八つ当たりしてるだけだ。一種の照れ隠しみたいなもんだ」
豪快に笑ったかと思いきや、涼やかに語る順子。
男っ気がある様に見えて、それ以上に、美貌を秘めているかのような相貌。
身長百七十八センチ、体重、六十三キロ。ポジションセンター。金髪のロングヘアーに、耳にはピアスをし、スタイル抜群な女子。
「こいつら、後で絶対シバいてやる」
そこで、奏根は腹から力を入れ、マグマを噴火させるのを堪えるくらい、怒っていた。


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