
第二十七章 第二回戦、開始 九話
高貴も険しい表情で、先程のジャンプボールを弾かれた事による、リベンジマッチを果たそうとした。
「高貴! 勝負だ!」
そこで、豪真が高貴に檄を飛ばす。
高貴は背中を順子に向けている状態から、左にボールを見せつけ、フェイントを入れると、ロールターンで右に移動する。
順子は一瞬釣られたが、すぐに体制を整え、ジャンプシュ―トをしようとした高貴に飛び掛かる。
片腕を伸ばし続け、高貴のシュートをブロックしようとする順子。
しかし、高貴の身体は徐々に後ろに後退していく。
フェイダウェイシュート。
しかし、ペナルトギアを装備しているため、順子の身体能力も底上げされている。
そんな力でジャンプすれば、普通の跳躍力の二、三倍の高さまでジャンプしてしまう。
そこまでの高さに居る順子は確実に取った物だと確信した。
高貴の傍には誰も居なく、パスを出すと言う、選択は無い。
しかし、高貴がいざシュートを打った時、普通のシュートより、明らかにループの高さが違った。
まるで天井目掛けた様なシュート。
そのループの高さは、あっさりと、順子の伸ばした手を上に通り過ぎる。
順子はその独特なアーチに驚愕する。
そして、ボールが下に落ちると、その先は間違いなくネットの中に入ると言う状況。
高貴は決めたと思った。
しかし。
バチン!
なんと、順子は一度コートに着地したのにも関わらず、二度目のジャンプでリングに入る寸前のボールを右手で左に弾いたのだ。
それには豪真たちは目を大きく開き驚愕する。
弾かれた瞬間だった。
その先、宙にあるボールを片手で手にした選手が居た。
理亜だった。
理亜は空中でボールをキャッチすると、そのままリングの中にボールを叩きこむ。
見事決まり、これで点数は二対四。
順子たちも理亜のプレーを見て一驚する。
観客たちは騒ぎだてる様な歓声を上げる。
「やるな」
「えへへへ」
微笑みながら理亜に向け口にする順子に、理亜は満面の笑みでブイサインする。
「すいません理亜さん。お手を煩わせてしまい」
「良いよ別に。それよりさっきのシュート凄かったね」
「いえ、咄嗟の判断でしたので」
高貴と理亜は自分たちのコートに戻りながら言葉を交わす。
「どんまい、どんまい。つぎ決めてこ」
「ああ!」
エノアが順子に近付き笑みでそう口にすると、めげているなど微塵も感じさせない様な溌剌としている順子。
そして、芙美がエノアにパスを出すと、試合の歯車は再び回りだす。


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