クリーチャープレイバスケットボール 第三十章 乱歩・気流 二話

第三十章 輪の力 二話

 一方、ダイオンジチームは。

 「上々ですよ、皆さん」

 達樹がベンチに座ってエネルギー補給をしている順子たちに優しく言葉をかける。

 「やっぱり一筋縄じゃ行かないね。向こうのチームは」

 「だな。私たちの有利の様に思えても、気が抜けないし」

 エノアが息を少し乱しながらそう言うと、順子も大量の汗をかいて、ベンチに持たれながら口にする。

 「でも、私たち押してるじゃん。このまま、あのペチャパイ女たちに引導を渡すじゃん」

 「んもう、静香ちゃんたら。あんまり意地悪な事ばっかり言ってると、手痛いしっぺ返しに遭うかもだよ。ただでさえ、人の不幸や悪口は、自分にも後に、円満にはいかしてくれないんだからね」

 おいたする子供を𠮟りつけるお姉さん口調の聖加に対し、静香は「確かに。ペチャパイ女の悪口ばっかり言ってたら、私がペチャパイになるかもじゃん」と言って、ケロッとした様子。

 それを聞いたエノアと順子は苦笑いしていた。

 「……エノアよ。第四クウォーターからは、我にパスを集中的に回してくれぬか?」

 すると、冷静な口調で芙美がエノアに向けそう言うと、エノアは「うん♪ 分かった」とスマイルな形相で口にする。

 「どうやらここからが正念場のようですね。……お互い」

 達樹が真剣な瞳で豪真を目にする。

 「そう言えば、理亜さん。第一クウォーターからそうでしたけど、あの八番の選手をマークしてから殆どつきっきりですよね? 何かあったんですか?」

 「それ俺も思った。ふしだら女にしては、妙に活躍してないし」

 加奈が素朴な疑問を口にすると、奏根もスポーツドリンクをストローで吸い終わると、そう口にする。

 それに対し、理亜は眉を顰め、しかめっ面になる。

 「うーん。なんかあの選手、ほっとけないって言うか、なんか違和感があるんだよね。まるで密林の中を探検していると、知らないうちに背後から三つ目星人がいるような奇妙な感覚、ていうか」

 落ち着かない様子でそう語る理亜に対し、奏根たちも芙美に目を向ける。

 すると、芙美は鋭い目を、奏根たちに向ける。

 「まあ、こう言っては、聞こえは悪いですが、あの選手たちの中では、一際、影があるようで無いような、不思議な印象はありますね」

 「うん、でも言い返せば。それだけ群を抜いている、て、解釈できるかも」

 高貴が芙美に目を真っ直ぐ向けながら、控えめに口にすると、智古は身に何かを感じ取るかのように、落ち着かない様子で口にする。

 「とにかく、憶測だけではどうにもならない。スポーツは、やはり肌で直接し、感じ、体感するものだからな」

 「監督の言う通りだな」

 豪真が仕切り、注目を浴びる様に言うと、奏根は頷き、理亜たちも強く頷く。

 そして、第四クウォーター開始前のブザーが鳴る。  選手一同は、コートの中央に集まる。

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