第三十一章 ファール? で攻めろ! 一話

第三十一章 ファール? で攻めろ! 一話

 そして、奏根が加奈にパスを出すと、すぐさま、オールコートで当たってたエノアと静香。

 加奈は二人のディフェンスを抜きたかったが、流石に二対一では不利なのは明白。

 そこで加奈は、ボウリング投げの要領で、エノアと静香の間に強く投げつける。

 ボールがコートの下で弾むと、ギュルルル! と言った回転をさせ、左サイドに居る奏根に向かって行った。

 パスを受け取った奏根は、フリーのままスリーポイントシュートを打つ。

 「待てこらペチャパイ女!」

 すると、怒涛の勢いで奏根に近付いていたのは静香だった。

 静香の渾身のジャンプで、僅かにボールを手が掠る。

 「「リバウンド!」」

 そのボールが外れる事は、奏根と静香は確信していた。

 だからこそ、声を張り上げ、高貴と順子、智古、聖加に聞こえる様に決死の表情で口にする。

 案の定、リングにぶつかる寸前で、順子、高貴、智古、聖加が跳躍する。

 ボールがリングにぶつかり、コンマ一秒もしないうちに、何者かの手が、ボールを手にした。

 そのままダンクで決めたのは、理亜だった。

 「よし!」

 「おおぅ」

 豪真がガッツポーズし、達樹が感嘆の声を漏らす。

 七十八対八十一にパネルが変わると、観客たちは熱狂する。

 「芙美、次で行けるか?」

 「まかせい。残り時間とスタミナを考慮すれば、ここからフルで行ける」

 順子が汗をユニフォームで拭いながらそう聞くと、呼吸を乱しながらも淡々と口にする芙美。

 そして、エノアが自分たちのコートのゴール下から、レーザービームの様なパスをし始めた。

すぐに芙美にパスが渡ると、芙美はスリーポイントラインからノーフェイクでシュートを打つ。

 「今度こそ!」

 そう意気込んでジャンプし、芙美のシュートをブロックしようとした理亜。

 しかし、またもや芙美のボールは手からすり抜ける様に、からぶると、もう一人の芙美が居る左サイドからシュートが打たれ終わった後だった。

高貴は、どのボールが本物か見抜けられず、最初のボールをブロックしようとしてしまい、虚しくからぶってしまい、二本目に打たれたシュートが入ってしまう。

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