クリーチャープレイバスケットボール 第三十一章 ファール? で攻めろ 四話

第三十一章 ファール? で攻めろ 四話

 「……天木さん? あれ? どこかで聞いたような」

 そこで、智古が眉を顰め何かを思案していると、由紀子が「私の事よりも、今はこの試合だろ?」と淡々と言う。

 「え、あ、はい」

 智古も気持ちを切り替え、少し動揺はするが返事をする。

 「あの八番は既にエキストラロードに入っている」

 「やはりですか」

 由紀子は芙美を見ながら渋い表情でそう口にすると、豪真が冷や汗を流す。

 「はい。でも、あの八番の選手の分身みたいなオフェンスとディフェンスに、悪戦苦闘していまして、それ以外の選手も、スペックが高く、どうしたら良いのか、手詰まりと言うのが現状なんです」

 高貴が悔しそうな面持ちでそう口にする。

 「なに尻込みしてんだい。言っとくが、私の目から見たら、あのチームとあんたらは同格だよ」

 「「えっ⁉」」

 何の遠慮もなくそう言う由紀子に対して、理亜たちは、一驚する。

 「いいかい、一度しか言わないからよく聞きな。あの八番は分身じゃない。どちらかと言うと、残像に近い。ボールも実体化に近い状態だ。どう言うカラクリかは、現状、エキストラロードの異能の能力としか言いようがない。そして、その残像を生み出す時には、オフェンスでは、ノーフェイクで必ずシュートを打つ。ディフェンスでも言える事だが、一度出した残像は、すぐには引っ込めないと見た」

「確かに、言われてみればそうかもですね」

加奈が真剣な面持ちで頷く。

理亜たちも同じく頷く。

「けど、少しネタが分かっても、あくまで、欠点とまでは言わないだろ? 結局の所、どう立ち向かって行けばいいんだ?」

 どう足掻いても勝ち目が無い様な、現状に焦燥する奏根。

 「そんなの自分たちで考えな」

 「えーー! そんなあー……」

 由紀子が冷めた声音でそう口にすると、理亜は肩をガックシ落とし、消沈する。

 それを目にした由紀子が、口を真一文字にし、何やら考えている様な、様子になる。

 「……仕方ないねえ。じゃあ、ちょっとした対応策ぐらいなら教えてあげるよ」

 嫌々な面持ちになる由紀子だったが、そんな事は関係なく、理亜たちは曇っていた表情が、一気に晴れた。

 そして、由紀子は秘策を伝授する。

 「えっ! 良いんですか? そんな事して?」

 「最悪、一発退場になる危険もあるんじゃ?」

 豪真が恐れ多い、見たいな面持ちで驚愕すると、加奈がおどおどしながら口にする。

 「バレなきゃいいんだよ。こんな事、あたしの居た世代じゃ、しょっちゅうだったよ」

 けろりとした面持ちで口にする由紀子に対し、何か気になる部分でもある見たいな様子で、理亜が「あたしの居た世代?」と首を傾げながらぼそりと口にする。

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