
第三十二章 エクストラロード対エクストラロード 八話
スリーポイントラインにまで走り終わると、左サイドからスリーポイントシュートを打とうとした芙美。
「させない!」
智古は、スリーポイントラインで網を張っていたので、すぐさま、芙美に近付く事が出来た。
聖加は出遅れ、後から続く。
智古は目の前の芙美が残像か確かめるために、ジャンプしている芙美のズボンを触れる。
すると、それが残像だと言う事が分かった智古は、不意に後ろを振り向く。
なんと芙美は、左サイドのハーフラインからジャンプシュートをしようとしていた。
奏根がそれに気づき、急いで斜め横から跳躍する。
さすがに、ユニフォームなどに触れて確かめる余裕は無かった。
奏根が芙美の最高到達点に追いつき、手をかざし、ブロックする体制になる。
打たれたボールは、なんとすり抜け、奏根の目の前に居る芙美は幻影だった。
気付いた時には、芙美は右側のハーフラインからジャンプシュートを打ち終えていた。
高貴は、順子のスクリーンを躱したかと思いきや、順子は、前に出てきた高貴の前にクルリと回り、スクリーンをかける。
完全に成すすべなく、芙美のボールはリングに入る直前だった。
なんと、理亜がゴール下でジャンプして、リングに入ろうとしたボールを掴み取る。
「うおっし!」
豪真は、キレッキレのガッツポーズを取る。
由紀子もニヤニヤしながら胸を撫で下ろしていた。
理亜は、コートの下に着くと、レーザーパスならぬ、レーザーシュートを打つ。
それは、敵チームのリング近くに、ボールを強く投げつける行為。
それがシュートでなく、パスだと言う事が、すぐに加奈には伝わった。
加奈はエノアが行動を起こす前に、リングに走り出し、リング下でジャンプし、ボールを手にすると、アリウープで決める。
ドカン!
「「うおおおおぉーー!」」
観客たちは、擦れ擦れのゲームに歓喜していた。
点数は九十二対九十五。
残り時間は一分三十秒。
この試合は一体どうなるのか?


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