
第三十三章 決められるわけもない優劣 一話
すぐに芙美にパスを出す静香。
芙美はハーフラインで理亜を前にすると、フェイントなしにジャンプシュートをしようと跳躍する。
そこで理亜は、すぐに目の前の芙美が偽物だと言う事を理解すると、周囲を見回す。
右サイドのスリーポイントラインからシュートを打とうとしていた芙美。
しかし、理亜はそれを追わない。
理亜の異能の射程範囲だったから、効果がないと分かると、すぐに偽物だと踏む。
さらに周囲を見ると、左のアウトサイドからスリーポイントシュートを打とうとしていた。
そこまでは、理亜の異能の範囲ではなかったため、すぐに走り出す理亜。
それに気付いた智古が、左のアウトサイドからシュートを打とうとしている芙美が本物ではないかと予測し、ユニフォームに触れる暇もなく、芙美の前まで走ってジャンプする。
すると、芙美は、聖加にパスを出す。
釣られてしまった智古は、一驚する。
そこで、聖加がすぐに順子にパスを出す。
理亜の異能にかからないため、早いパス回しをしていた。
順子は、パスを受け取ると、フックシュートの構えでジャンプする。
高貴もジャンプをし、その後を追う。
順子がフックシュートを打とうとしたその時、奏根が順子のボールを後ろから叩きつける。
「俺らを忘れてもらっちゃ困るぜ!」
キザッぽいセリフを吐き捨てるかのように言うと、奏根の弾いたボールは加奈が手にする。
エノアは、絶対抜かせないと言う、意気込みでディフェンスをするが、意識が朦朧とし始めた。
「――! そう来ますか」
達樹は思わず立ち上がり、息を呑む。
エノアは意識が定まらず、その場で、ぼーと立つ事しか出来なかった。
「加奈ちゃん!」
「はい!」
理亜が、エノアに近付き、異能を発揮していたからだ。
そして、加奈が理亜にパスを出すと、理亜はスリーポイントラインからジャンプし、エンド・オブ・ジャスティスを繰り出す。
見事決まり、これで九十五対九十五の同点。


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