クリーチャープレイバスケットボール 第三十三章 決められるわけもない優劣 三話

第三十三章 決められるわけもない優劣 三話

 「私もこれ以上の戦術は無い。後は、出すもんだしていきな」

 「はい、天木さん。ここまでご指導いただき、ありがとうございます」

 由紀子もマジマジとした目をダイオンジチームに向けながら淡々と口にすると、高貴が頭を下げる。

 「礼を言うのは早いよ。そう言うのは悔いが残らなかった時に言いな」

 「「はい!」」

 由紀子の最もな言葉に、感化された奏根たちは声を揃えて、声を上げる。

 そして、タイムアウト終了のブザーが鳴る。

 理亜たちはコートに集まり、試合は再開された。

 エノアがすぐに芙美にパスを出すかと思いきや、エノアは聖加にパスを出す。

 ボールを持つ時間を極力みじかくし、理亜の異能を回避するのが狙い。

 聖加は、すぐさま静香にパスを出した。

 芙美は理亜から離れるためコート中を走っていた。

 それは順子たちも同じだ。

 もう、ポジションなど関係ない。

 まるで、理亜が鬼役で、追いかけっこでもするかのように。

 静香がボールを貰うと、リングに向けすぐさまぶん投げた。

 「ちっ! アリウープか⁉」

 奏根は防げなかった事に苛立ち、舌打ちをすると、奏根はボールを追いかける。

 順子が空中でボールを貰うと、ゴール下から一気にリングに叩きつけようとした。

 しかし、さすがに戦術が単調だったためか、高貴はリングの上までジャンプし、順子のボールを弾いた。

 「いやっ、これでいい!」

 順子は悔しそうな感じなど微塵も表情に出さず、何か狙いがある様だった。

 弾かれた先に居たのは、芙美だった。

 順子は、ブロックされることを予め予想し、ブロックして弾かれる先まで計算していた。

 芙美はフリースローラインからノーフェイクのジャンプシュートをする。

 理亜はすぐさま異能を発揮する。

 そして、目の前の芙美が残像だと言う事を知ると、すかさず、周囲をくまなく見て、芙美を探す。

 しかし、芙美が居たのは、ハーフコート。

 しかもボールを手にしていなかった。

 「残念じゃのう」

 芙美は艶笑に微笑みながら、理亜に向け口にする。

 「これで決まりじゃん!」

 なんと、いつの間にか静香が、シズコラシュ―トを打っていた。

 ボールを片手にブンブン腕を振り回し、投擲でもするかの様に、理亜たちのリングに目掛けぶん投げる。

 「しまった! あのシュートは防げない!」

 豪真が非常にまずい状況に陥った事に、動揺が露わになる。

 由紀子も顔を顰める。

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