
第三十四章 網羅聖のトップ現る 三話
そして、一行は風呂場に入り、先に身体から洗う事に。
「えっ! そうだったの?」
「うん。僕たちで話し合っていたんだけど、しずちゃんのシズコラシュ―トは、手に負担がかかる前に止めるって言うのが約束だったんだ。で、クリプバは女性限定のスポーツなんだよ」
「そうだったんですか」
理亜が一驚すると、その話の核を、殊更にして口にするエノア。
加奈は、少し心配した面持ちになる。
「で、しずちゃんは、手、大丈夫なんですか?」
「うん。もう何ともないじゃん♪」
加奈が憂慮する言葉を口にすると、ご満悦の様子で鼻歌を歌いながら体を洗っていく静香。
「お前、何でそんなに機嫌が良いんだ?」
そこで、奏根が、どこか気に障ってみたいな口ぶりで静香に聞く。
「そりゃねえ~。ムフフフフ、アッハハハハッ!」
意地悪な笑みから一変して、爆笑する静香。
その目の先は奏根の胸を捕らえていた。
「ちくしょー。試合に勝っても、何か負けた気がする」
深く落ち込む奏根。
「と言うか、みんな知らなかったの? 男の人が、クリプバに参加できないの?」
「うん、私たちは初めて知った」
聖加がでかすぎる胸を洗いながら自然と聞くと、智古は意外そうな表情で答える。
「そっかあ。男の人駄目なんだね。明人も誘おうと思ったのになあ」
どこか覇気の無い声で言う理亜。
「お前。実の弟に義足か義手付けろってか?」
そこで、奏根がやれやれ見たいなノリで口にする。
「そうだなあ……あそこをちょん切って新しく付け直すとか」
「「えっ!」」
理亜の爆弾発言に、驚愕する全員。
「……義チンか?」
末恐ろしい子供でも見るかのような目で理亜を見る芙美。
「そ、それは、殿方の禁断の芸になるのかもしれません」
どこか、仰々しい態度で、前代未聞の何かを見出したかのように、フルフル振るえる高貴。
「と言うと?」
そこで、高貴の話の続きが気になった順子は、首を傾げる。
「つまり、義チンであれば、公の舞台で堂々とそれを露出しても、モザイクはかからないかと。なぜなら人工物ですし」
「「おおーー」」
高貴がキリっとした眼差しで人差し指をぴんと立て、熱弁すると、理亜たちは感嘆の声を漏らす。
「いやいや、待て待て。そうはならんじゃろ」
落ち着きを取り戻した芙美は我に返って、どこか引きつった顔で口にする。
「にしてもお前、自分の弟を何だと思ってるんだよ」
「えへへへっ。冗談冗談♪」
奏根がしょーもない奴でも見るかのような目で理亜を見ると、理亜は悪意ゼロで笑って見せる。
「ほんと面白い奴らだな」
「でも、ああなりたくないじゃん」
順子が笑みを浮かばせると、静香は自分の胸がマッタイラになったかの様なジェスチャーで、両手を胸の上からスッと下ろす。
「あのやろう」
怒りが込み上がってきている様な、ギャグキャラの様なノリになる奏根だった。


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