
第三十五章 毒牙 一話
理亜たちがお風呂を堪能し、大広間でくつろいでいた時、加奈がスケッチブックを持って、聖加の湯上りで色気のあるポーズを熱心にスケッチしていた。
奏根はと言うと、リフレッシュしている所か、ますます疲労困憊の様にげっそりしていた。
その横で、いちご牛乳を美味しそうに飲む理亜たち。
「お前ら、次の対戦相手が決まったぞ」
「おっ! いよいよ決勝戦の相手が⁉」
豪真がスマホを見て愛想なしにそう言うと、理亜たちは食いつく。
「ああ。決勝戦の相手は、前回の優勝者にして未だ負けなしのアサルトハイドチームだ」
「絶対王者の名は伊達ではありませんね」
豪真が渋い表情でそう口にすると、達樹はお茶を啜りながら独り言の様に言う。
「あのう、アサルトハイドチームってどんなチームですか?」
聖加は気になっていた。
その言葉に理亜たちも、豪真と達樹を見る。
「どうもこうも、さっきも言ったろ。未だ負けなしの常勝チーム。それがアサルトハイドチームだ」
「まあ一言で言うとそうなりますが、問題なのは中身、そう言う事ですよね。聖加さん?」
「え、あ、はい」
豪真は仏頂面で少し不機嫌になるが、達樹は相も変わらず穏やかな表情。
聖加はどんなチームか気になり、生唾を飲み込む。
「そうですね、前大会と今回のアサルトハイドチームを比較して言うなら、前大会のアサルトハイドチームが強いです」
「ええー。そうなの?」
「どうして残念そうなんだよ」
淡々と口にする達樹の言葉に、少しへこむ理亜。
それを見た奏根は、眉を顰める。
「だって、どうせなら思いっきりプレーできる人たちとバスケしたい。ダイオンジチームみたいな皆と」
「……理亜」
理亜の純粋無垢な言葉に、ダイオンジチームの皆は、どこか嬉しそうな目を理亜に向ける。
「はっはっはっ。安心してください理亜さん。確かに質やスペックで言うなら前大会アサルトハイドチームが強いです。しかし、それでも、私、個人としては、今回のアサルトハイドチームが強敵だと思います」
「「えっ⁉」」
達樹の見解に理亜たちは一驚する。
豪真も驚いていた。


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