
第三十五章 毒牙 五話
二日後、理亜たちは砂川体育センターで、猛練習をしていた。
決勝戦まで後八日。
夕方の十六時、とある団体がやってきた。
「お、着たか」
「あれっ?」
「よう皆!」
豪真が気付くと、理亜たちも練習する手を止め、入り口から元気よく入ってきたのは、なんと、順子たち、ダイオンジチームだった。
「えーー! 皆どうしたの⁉」
「いやあ、なに、私たちも今日から世話になるからな」
「ん? 世話?」
理亜がはしゃぎながら近付くと、順子がニンマリしていた。
その言葉の意味が分からず、理亜たちはキョトンとした面持ちになる。
「豪真さん。今日からよろしくお願いします」
「ええ。こちらこそ」
達樹が豪真と握手し挨拶を交わすと、理亜たちが豪真に近付き「どう言う事です?」と聞く。
「言葉通りだ。今日からダイオンジチームはシャルトエキゾチックチームとしてメンバー加入する。銅羅の許可も取ってある」
「「えっ!」」
まさかの言葉に一驚する理亜たち。
「途中参加っていいの? しかも、こんな形で?」
「ああ。銅羅さえ、yesと言えば問題ない。それからな、みんな賞金は要らないそうだ。無償でお前たちに手を貸したいと言う、申請だったからな。願ってもない」
「なんか、色々と情報量が多すぎてどう聞いたらいいか分からないのですが」
豪真が落ち着いていたが、理亜たちは理解できないと言う、?まーくを頭に浮かばせている。
「あの、皆さんは本当に賞金は要らないのですか? 私たち十人で、分配すると言う事も」
「構わん。我らは主らが気に入った」
「そうだよ。そんな皆とバスケの思い出を作れるなら、お金なんて二の次三の次だし」
高貴が申し訳なさそうに聞くと、芙美は清々しい面持ちになる。
エノアも、満面の笑みで答える。
「ねえ皆。ちょっといい? 芙美ちゃんたちはそこで待ってて」
「ん? どしたふしだら女?」
「「?」」
理亜がちょっとしたお願いをすると、首を傾げる全員。
コートの隅に、理亜たちが輪になり、会議が行われていた。


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