クリーチャープレイバスケットボール 第四章 新たなる仲間 二話

第四章 新たなる仲間 二話

 理亜たちの試合が終わった中で会話していた豪真たちの一方で。

 「試合終了! 八対五で、勝者、理亜選手!」

 「やったー!」

 審判の力強い言葉に、バックボードの上で大はしゃぎするかのように喜ぶ理亜。

 「くっそー」

 奏根は悔しそうにしながら、両膝に手を付け俯せる。

 他のメンバーは、先程の理亜のプレーに心奪われたようにしながら、感嘆の表情をしていた。

 ようやく理亜が下に飛び降りると、奏根たちが理亜に近付いてくる。

 「理亜ちゃん。さっきの凄いね! あんなプレー。私たちじゃ、到底無理だよ」

 智古が自分の事のように喜びながら、理亜の片手を握る。

 「えへへへへ」

 照れまくる理亜。

 そして、豪真が下に降りてくる。

 「どうだ。理亜の実力は?」

 「ああ。確かに腕は本物だ。けどさ、性格が気に入らない」

 豪真の言葉に少し眉を顰める奏根。

 「奏根さん。人は誰しも万能ではありません。むしろ、欠点の一つや二つあって、バランスが取れた人格者なのかと思います」

 高貴が上品な仕草で真っ当な事を言うと、理亜がにんまりした表情になる。

 「こいつの場合、その欠点の大穴が深いんだよ。ドラマや映画の出演が悪女にしか役が回らない悪名な女優ぐらいな」

 「女優だなんて。えへへへ」

 「別に褒めてねえ! くそ、こんな天然ものに負けたのかよ、俺たちは」

 デレ笑いする理亜に怒り心頭気味で突っ込み、消沈する奏根。

 「と、とにかく、これで理亜ちゃんを正式に私たちのチームに参加して貰ってもいいですよね。あっ、ごめんなさい。理亜ちゃんが良ければですが」

 加奈が途中で誤りに気付きおどおどとした様子で喋る。

 「えっ! 私、皆のチームに入っていいの?」

 理亜はまさかの提案に一驚する。

 「うん。そうだよ。今回の勝負で良い勝負が出来たら理亜ちゃんを私たち、シャルトエキゾチックチームに加入して貰おうって話はしてたんだ。でもまさか負けるとは思わなかったよ」

 後頭部を片手で押さえながら、アハハハッ、と参った参った見たいに脱帽する智古。

 「うん! 入る入る! やったー! これで私たち仲間でもあり友達だね」

 大はしゃぎして喜ぶ理亜。

 「は? 何寝ぼけた事言ってんだ。百歩譲って仲間は良いが、友達なんてまっぴらごめんだ。お前みたいに能天気と身体が売りな下品な女はな」

 奏根がそっぽを向いて腕を組みながら憎まれ口を叩く。

 「もー! 何でそういう事言うの! 奏根ちゃん、本気で内面を磨いた方が良いよ。今の奏根ちゃんだとルックスも合わさって凄い言いにくいけど、どん底の女ってイメージしかないよ」

 「喧嘩売っとんのかコラッ!」

 理亜の棘のある言葉に、江戸っ子の喧嘩っぱやい親父口調でキレる奏根。

 「はいはい。じゃれ合うのはそこまで。それより理亜ちゃんがチームに加わった事だし、決起会でもしようよ」

 「「だからじゃれ合ってない!」」

 智古が年上のお姉さんのように二人をなだめようとするが、見事にユニゾンしてツッコむ理亜と奏根。

 「良いですわね。どこでやります?」

 「ぶ、無難にファミレスですかね」

 高貴がおっとりとした様子でそう言うと、加奈が遠慮しがちに申し出る。

 「おい加奈。お前は外食嫌ってるだろ? 俺らに余計な気は使わないで良い。せっかくだし俺の家で良いだろ?」

 なんと、誰であろう、我らが奏根が優しく加奈を気にかけていた。

 「奏根ちゃん! プラス三点」

 「「――引く!」」

 理亜が満面の笑みでそう言うと、他の全員がお笑い芸人顔負けのクオリティでツッコむ。

 勝手に奏根を採点する理亜だった。

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