クリーチャープレイバスケットボール 第三十六章 解放された漆黒の鎖 四話

第三十六章 解放された漆黒の鎖 四話

 一方、騒がしくなってきた喫茶店に入店した理亜たちは、少し違和感を感じていた。

 「何か騒がしいですね?」

 「どうやら、早々に馳走にはありつけなさそうじゃな」

 高貴は少し警戒していて、芙美は、ただならぬ空気を犇々と感じていた。

 すると、等々、狂気が牙をむく。

 「キャーーー!」

 「なんだ⁉」

 店内で一人の男性がテーブルに突っ伏せて血まみれで亡くなっていた。

 その男性は、なんと、達樹だった。

 背中に太い穴が無数にあり、アイスピックの様な物でめった刺しにされていたのだ。

 「そ、そんな……あ、あれって」

 「た、達樹さん⁉」

 理亜たちがそれに気付くと、窓ガラスが、パリーンと割れる音がした。

 そこから黒い影が一瞬見えた奏根と順子は急いで喫茶店の外から、割れた窓ガラスに向かい回り込む。

 「「待ちやがれ!」」

 奏根と順子が後を追う。

 先程まで居た、男性の店員が姿を消した事など、誰も気づいていなかった。

 芙美たちは、無残な亡骸になった達樹に泣きながら近付き、既に絶命していた達樹を抱く。

 まだ、暖かさが感じた。

 しかし、間違いなく達樹を息をしていない。

 その現実が受けきれられず、大泣きする事しか出来なかった。

 奏根たちが追っていたのはなんと、ツエルブだった。

 「おい輝美! ここにさっき女が来ていたレインコートがある!」

 「善悟、ここは任せた! 俺は奴を追う!」

 「ああ!」

 輝美と善悟は二手に分かれた。

 善悟が、現場を収めるために、喫茶店に残り、警察と救急車を呼び、喫茶店にいる客や従業員たちに事の経緯をある程度、話す必要がる。

 話しながらも、達樹の遺体に寄り添い、偲ばれる思いで口にしていた。

 「なんでだ⁉ 俺たちペナルトギアをオンにしているのに、何であいつに追いつけない⁉」

 奏根と順子は、ペナルトギアをオンにしているにも関わらず、一向にツエルブとの距離が縮まらないでいた。

 「あんまり考えたくないけど、あいつもペナルトギアを使ってるんじゃないか⁉」

 奏根の疑問に、焦燥しながらも辿り着いた順子の答えに、奏根は納得した。

 そこからは何も考えず、ただ、達樹の仇を取りたい一心で追いかける。

 既に一キロは走り、国道に出ていた、ツエルブと奏根たち。

 「ちっ、しつけえなあ~。いっそここで殺るか? 契約違反だがな」

 ツエルブは焦っているわけでもなく、まるで小さい子供から鬼ごっこで逃げている様なゲーム感覚で、ねっとりとした笑みを後ろに居る奏根たちに向け、足を止める。

 「止まった⁉」  

 すると、ツエルブの手には既に、刃渡り五センチ程のナイフが握られていて、その表情から、狂気的な笑みをしていた事から、全神経が軽快音を鳴らす様にして、奏根たちの足を止める。

【東京イビキクリニック】

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