
第四章 新たなる仲間 三話
そして、オータァナァマァス・トォン・サーキットを解除するため、心の中でゴウバックサーキット、と言う奏根たち。
理亜も豪真から教わり奏根たちをまねる。
「そうだ、理亜。奏根の自宅に行く前に私の診察所に来い。一度、足に支障がないかチェックしておきたいからな」
「うん。分かった」
豪真の言葉に迷うことなく頷く理亜。
そして、一度、豪真がレンタカーで借りたワンボックスカーで奏根たちを奏根のマンションに連れて行く事に。
理亜がそのマンションを見てみると、高級感溢れるマンションだった。
利便性が高く、自動ドアの玄関。
「奏根ちゃんてお金持ち?」
怪訝な面持ちで聞く理亜。
「別に普通だ」
奏根の素っ気ない一言。
そこで、理亜が奏根の反応を見て富裕層な民間人だと踏んだ。
「うわー。性格悪くてお金持ちだなんて、減点五」
先程から奏根を採点する理亜。
かなりふてくされていた。
「くそ。いつか絶対泣かせてやる」
拳を握りしめ、熱く誓う奏根だった。
「か、監督も来てくださいね」
「ああ。後でな」
加奈がおどおどしながらそう言うと、豪真は自然に言葉を返す。
そして、理亜たちは奏根が居る、オリエンタルボウルの近くの高級マンションから、車で豪真の竜宮城病院に向かう。
「どうだ理亜。うちのチームメイトは?」
「うん。皆ユニークで面白い。私、シャルトエキゾチックチームに入れて良かった」
満面の笑みでそう言う理亜。
「上手いとか強いからじゃないんだな。入団した理由」
豪真はぼそぼそ言うようにツッコむ。
「豪真さんが監督やってるんだよね?」
「ああ。監督に就任したのはつい最近なんだ。あの子たちは私の受け持ちの子たちでな。みんな手や足に訳ありでな」
窓から入る涼しい風を浴びながら疑問を口にする理亜。
豪真は話せる内容だけ話した。
「そっかあ。そう言えば、クリプバはいつ開催するの?」
「一か月後だ。今日が九月二十二日だから、十月末だな」
「なるほどね。いやあー楽しみだな。待ってるよ百億」
「ハハハッ。やはり理亜は面白いな」
暖かい会話をする理亜と豪真。
理亜は待ちきれないと言う様子でテンションが最高潮だった。
豪真はそんな理亜を見て心温まる物を感じた。
そうこうしている内に、竜宮城病院に着いた理亜たち。
難なく診察室で豪真が理亜の右足をチェックしていた時だった。
「――ン⁉ これは!」
「えっ! どうしたの⁉」
何故か豪真が理亜の右足を触診している時、飛び跳ねるように驚く。
理亜はただ事ではない豪真の反応に動揺する。
「……毛が一本、生えている」
「大変! 抜いて!」
たいした事ではないはずなのに、大げさに反応する理亜。
豪真は眉を顰めながら慎重に理亜の義足から何故か生えてしまった毛を抜いた。
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