
第三十八章 歴戦の覇者、参上 二話
砂川体育館が使用できる時間になると、すぐに体育館に入り、入念な練習を重ねた理亜たち。
由紀子とも合流し、いざ、決勝戦の舞台に。
シャトルバスでの移動なため、今日は豪真は運転しない。
「ねえ天木さん。アサルトハイドチームのイリアスって人、知ってる?」
座席から前に身を乗り出す理亜。
「知ってるよ。それがどうかしたのかい?」
「えーとね。実はこの前、その子と一ON一したんだけど負けちゃって」
てへへへ、見たいなノリで口にする理亜に呆れて溜息をこぼす由紀子。
「まあ、負けても仕方ないね。あの子は私が徹底的に鍛え上げたんだから」
「「えっ!」」
由紀子が淡々と口にすると、理亜たちは一驚する。
「敵に塩を送る様な事しなくても」
豪真はげんなりしていた。
「言っとくが私があの子にバスケを教えたのは一年前だ。半年足らずで全盛期の私に迫る逸材になったよ」
「へえー」
「全盛期って、天木さんがプロバスケ時代の時ですか?」
聖加が首を傾げると、豪真はどこか陰鬱な表情になる。
由紀子もどこがバツが悪そうな表情をする。
「……由紀子さん」
「ああ。そろそろ重い腰を上げないとね」
豪真が確認するかのような口調で由紀子に聞くと、由紀子は渋々と言った感じになる。
「実は、由紀子さんは二十年前、アサルトハイドチームのメンバーでもあり、優勝経験者だ」
「「ええーー!」」
またもやまさかの真実に驚愕する理亜たち。
「て事は、由紀子さん、プロ止めてからクリプバに⁉ しかもそこから義足か義手だったの⁉」
「はあー、やれやれ、だから知られたくなかったが、止む無しだね」
「ん?」
パニックになりかける車内。
騒がしくて、嫌気がさす様な表情になる。
しかし、ここまで話したら説明しないわけにはいかない。
理亜たちのプレーに影響が出る。
そもそも、最初から言わなければ良かったのだが、自分の過去を隠していた事に後ろめたい気持ちのまま、理亜たちの試合を見届けるわけにはいかなかった由紀子。
なので、由紀子は話した。
しかし、簡潔に。
試合会場までもう間もなくだったからだ。
「私の居た世代たちは、ペナルトギアなんて代物は使ってない。ペナルトギア自体、十年前の大会から初めて導入されたものだからね」
「うそっ⁉ 知らなかったじゃん」
落ち着いて聞こうとしていた理亜たちは、とにかく余計な会話は挟まないように、神経を尖らせる。


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