
第三十九章 やばい奴ら 一話
豪真と由紀子は敵チームの動きを観察する。
銅羅もベンチで、理亜たちの動きを注意深く見ていた。
銅羅はVTRで理亜たちの試合を見ていたが、前と違い精錬されている事に眉を顰める。
「まさか私たちまで決勝戦出れるなんて夢みたいじゃん」
静香ははしゃぎ気味だった。
「お前なあ、そんな有頂天じゃ足元救われるぞ」
「ふん、ペチャパイ女こそ毅然としてたって、内心びくびくしてそうじゃん。精々、私の引き立て役ぐらいにはなるじゃん」
「コノヤロゥ」
奏根の指摘を突っ張り返すみたいに、大胆とした面持ちで口にする静香。
奏根は怒りを滲ませた表情をする。
「僕たちでどこまで役に立つか。それも勝敗の決め手になるね」
「役に立つ立たないではなく、私たちはチームなのですから、一蓮托生ですよ。それが勝敗を左右するかと」
高貴の最もな言葉に、笑顔で頷くエノア。
「試合開始二分前です、一度、ベンチにお戻りください」
審判のお兄さんが腕時計を見てそう判断すると、理亜たちはベンチに戻る。
すると。
パスッ。
「……え?」
なんと、理亜たちがベンチに戻ろうとした瞬間、理亜たちではない誰かが、理亜たちのリングにシュートを決めていた。
驚くのは、シュートを打った人物が誰だか分からない事。
気付いた時には、ボールはコートの上で弾んでいた。
「ねえ、誰かシュートした?」
「いや、私も何故か分からない」
理亜が怪訝な面持ちで口にすると、順子たちも似たような面持ちになる。
まさかと思い、アサルトハイドチームを見つめる理亜たち。
アサルトハイドチームの何人かがニヤニヤ笑っていた。
「あんな距離からシュート打って決まるものかな?」
聖加は不安になってきた。
何かとんでもない事がついさっき起きたような。
「皆、残念な報告だ」
「どうしたの?」
豪真が暗い面持ちで理亜たちを迎えると、智古がキョトンとした面持ちでになる。
「さっき、シュートを打ったのはアサルトハイドチームだ」
「もちろん存じている。あれ程の遠距離からシュートを決めるスキル。侮れないと見た」
客観的に見ていた豪真の言葉に、警戒態勢の芙美。
「ただジャンプシュートを打ったならまだ対応策があったんだけどね」
「え、違うの?」
「ああ。私たちも気づいた時には、シュートが決まっていた。その直後、赤いユニフォームの背番号、九番のボールがなくなっていた。もちろんジャンプなどの素振りは一切せず、だ」
豪真と由紀子は渋い形相で言いにくそうに言う。


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