クリーチャープレイバスケットボール 第四十章 見切れるか? 一話

第四十章 見切れるか? 一話

 順子と知留が同時に飛ぶと、順子が先に弾いた。

 そのボールを聖加が掴む。

 すぐに木佐がディフェンスに回る。

 「さあ来い! 未来ある若者の力を私に示してみろ!」

 語気に力を籠め、聖加を威圧する木佐。

 聖加はレッグスルーで右に揺さぶりをかけると、少し右に身体を傾ける木佐。

 それを見逃さなかった聖加は、フロントチェンジで、左にボールを持ち替え、左サイドから抜いた。

 そこで、目の前に現れたのは賀古だった。

 賀古は、しっかりと腰を落とし、左右に両腕を伸ばす。

 聖加は左のアウトサイドにボールを運んでいくと、賀古と木佐がダブルチームで聖加に付いてきた。

 「え! いきなりダブルチーム⁉」

 ベンチに居た智古が思わず声を上げる。

 聖加は苦悶の表情で、理亜にパスを出そうとした。

 抜こうにも、賀古もそうだが、木佐も気を引き締め直し、先程よりも際どいディフェンスで対抗してきた。

 聖加は直ぐにパスを貰いに来た理亜にパスを出す。

 左サイドの右にパスを出したが、そこに待ったをかけたのは木佐だった。

 木佐はボールをカットすると、すぐに理亜たちのコートに居る飛翔にロングパスを出す。

 レーザービームの様なパスを、手を伸ばしてカットしようとした理亜の手を横切る。

 パスを受け取った飛翔は、エノアの前で止まる。

 スリーポイントラインでのマッチアップ。

 エノアは皆が自分たちのコートに戻る時間をせめて稼ごうと、抜かせまいとした鉄壁のディフェンスを張る。

 しかし、飛翔はフロントチェンジで右手にボールを持ち直すと、右斜め前に向けダッシュする。

 エノアもちろん、正面から付いていく。

 だが、フリースローラインに到着すると、足を止める飛翔。

 てっきり切り込んでくると思ったエノアだったが、もちろん気は抜かない。

 すると、飛翔がドリブルしながら右手でドリブルしていたはずだったのに、目の前から急に消えた。

 まさかの出来事に目を剥くエノア。

 パスッ!

 いつの間にか、飛翔は左サイドからレイアップシュートを決めていた。

 「え、あれって」

 「向こうのキャプテンがしていた」

 聖加が呆気に取られていると、奏根も動揺しながら答える。

 それを目の当たりにした理亜は、この前のイリアスとの練習試合が脳裏を過る。

 一体どう言うカラクリなのか?

 「由紀子さんは見えましたか?」

 「ああ。そこまで耄碌(もうろく)してないよ」

 「――だったら、今すぐタイムアウトを取って対策を」

 「待ちな」

 慌ててベンチの横に居る、審判たちに向かおうとした豪真を、引き留める由紀子。

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