クリーチャープレイバスケットボール 第四十一章 ジャスティス 二話

第四十一章 ジャスティス 二話

 「ねえ、なんか、あの十三番の人が攻めてくるっぽいけど」

 「望むところだ。そう簡単には取らせないよ」

 理亜が注意深く飛翔と木佐のやり取りを、遠目で見ていると、順子は気合を入れてポジションに着く。

 「フフフフッ。この中技木佐。一世一代の大舞台で、勝利の花を枯らせましょう」

 「いや、枯らせたら負けるじゃん」

 中二病特有の空気を醸し出しながら、自分に酔いしれる木佐の言葉から、呆れてツッコミを入れる代野。

 「みんな! 気を付けて! 変人に見えても、仮にもトップクラスの選手の一員! 何してくるか分からないよ!」

 「誰が変人だ!」

 ベンチでそう声を上げる智古に、素早くツッコミを入れる木佐。

 飛翔からパスを受け取っていた、木佐は、自分に酔いしれながら「食らうがいい。そして支持しなさい。これぞ私の真骨頂。エクストラロード。ジャスティス・マイ・フレンド!」

「「エクストラロード⁉」

 理亜たちは、驚愕し、厳戒態勢に入る。

 しかし、何も起きない。

 「て、あれ?」

 「何も起きないね」

 奏根と聖加が先に緊張の糸が切れ、身構えるのを止める。

 すると、不意に、木佐が順子にパスを出してきた。

 「え?」

 受け取った順子はありえない、見たいなリアクションで暫し、呆然としていた。

 「チャンスだ! 順子! 攻めろ!」

 豪真の大声に我に返った順子は、すぐに敵チームのコートに向けドリブルしようとしたその時。

 「パス!」

 「え、あ、うん。――あれ?」

 なんと、自然にチームプレイでもしているかの様に、木佐が順子を横切る刹那、パスを要求すると、順子は、信じられない事に、木佐にパスを出してしまった。

 その時、一瞬、順子は目が白くなり、何か別の意識が芽生えてたことに気付くが、時すでに遅く、木佐にパスを出してしまった。

 「なに⁉」

 「貰った―――!」

 豪真が一驚すると、木佐が勝利を掴み取ったかのような溌剌とした笑みで、レイアップシュートを決めようとした。

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