クリーチャープレイバスケットボール 第四十一章 ジャスティス 三話

第四十一章 ジャスティス 三話

 ……しかし。

 ガコン

 「……え?」

 誰もが決めると思っていた木佐のレイアップシュートは、ネットはくぐらず、リングにぶつかり、そのまま下に落ちる。

 素っ頓狂な表情で顔が硬直する理亜たち。

 「「リバウンド!」」

 奏根と飛翔がそう声を上げると、順子と知留が、高く跳躍する。

 そのボールは順子が手にし、すぐに理亜にパスを出す。

 理亜はパスを受け取ると、ドリブルで相手コートに向かって行く。

 その後を追う、賀古。

 賀古は理亜に追いつく事が出来ず、理亜は速攻でダンクを決めた。

 点数は八体十。

 一点差まで迫る事が出来た。

 「もう~。木佐ちゃん、貴女はエクストラロードでボールを受け取ったらすぐに私たちにパス出せばいいだけなのに。なんでポンコツのくせにシュート何てしたの?」

 遥が色っぽくして近付いてくるが、どこか呆れていた。

 「何を言う。私こそ史上にして最強の政治家候補。誰よりも最前線に出なければいけない宿命を私は背負っている。バスケでただ襷を繋ぐためのパイプ役程度で収まるつもりは微塵もない」

 どこかクールでありながら、自分に酔いしれる木佐。

 「はあ~。駄目ね」

 「仕方あるまい。木佐の一種の病だ。……こう言うのを中二病と言ったか?」

 「誰が中二病よ!」

 遥が片をガックシ落としながら飛翔にそう言うと、飛翔は淡々と答えながらも、最後には不思議な物でも見るかのように首を傾げる。

 すると、木佐が鋭いツッコミを入れる。

 賀古が飛翔にパスを出すと、飛翔はゆっくりとした足取りでドリブルして行く。

 エノアと理亜がダブルプレイでディフェンスをする。

 その分、賀古はフリーだが、賀古をフリーにさせてでも、飛翔を止めなければならなかった。

 間違いなく、イリアスに匹敵するか、もしくはそれ以上のスコアラー。

 そんな強敵を止めるには、エノアだけでは防ぎれないと判断したエノアは、理亜に助力を求めていたのだ。

 飛翔は侍の様な鋭い眼差しを向けながら、スリーポイントラインにまでやってきた。

 理亜たちはプレッシャーをかける様なディフェンスをする。

 すると、ロッカーモーションで後ろに重心を傾ける。

 後ろに下がらせては駄目だ、と判断したエノアはすぐに前に出る。

 しかし、飛翔は、そこからロールターンで、右側から抜いた。

 すぐにヘルプに入る理亜。

 エノアは直ぐに気持ちを切り替え、背後から飛翔のボールを奪いにかかる。

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