
第四十一章 ジャスティス 七話
銅羅たちが、明鏡止水、抜刀やジャスティス・マイ・フレンドに付いて語っている間、理亜たちはエノアの分析結果を耳にする。
「へえー。あの明鏡止水、抜刀って、そう言うものなんだ」
エノアの説明に感心する智古。
「うん。オフェンスで、あの明鏡止水、抜刀は、走っているんじゃなくて、ジャンプしてると思うんだ。だから、ジャンプ分の移動しか出来ないから、あそこでダンクとかは出来ず、レイアップシュートかパスの二択だけだと思うんだよね」
顎を摘まみながら口にしていくエノア。
「そうだったんですね。こちらからでも、早すぎて、ジャンプしているかどうかは、定かではありませんでした」
高貴が、飛翔を見ながら、感嘆の声を漏らす。
「やっぱりあんたはちゃんと人を見てるね」
由紀子はにんまり笑いながら、エノアの頭をクシャクシャに撫でる。
恥ずかしそうに笑うエノア。
「じゃがどう攻略する? フリースローラインにまで入らせないとなると、至難の業ぞ。ディフェンスでも最低は、二メートル以上の距離を開けなくてはならぬ相手に」
「そこですよね。しかもあれが、エクストラロードではなく、普通のスキルらしいですし」
異様な物でも見るかのように飛翔を見る芙美。
加奈も、現実的な局面に打ちのめられそうな、か細い声を出す。
「なあ、由紀子さん。向こうのチームじゃ、誰がエクストラロードを使えるんだ?」
順子が加奈の言葉を拾い上げる様に、ふとした疑問を口にする。
「それは、後のお楽しみだよ」
「えーー。またじゃーん」
意地悪そうに口にする由紀子に、静香がへこむ。
「由紀子さん♪ 今度チャーハン作ってあげる♪」
そこで、先程まで飛翔の明鏡止水、抜刀、がえらく気に入った理亜は、正義のヒーローが必殺技を使うみたいに、子供みたいにはしゃぎながら練習していたが、何の突拍子もない事を、満面の笑みで言いだした理亜に、由紀子は訝しい目を剥ける。
「あんた、食べ物で気を引いて教えてもらおうだなんて。私がそんな食い意地の張った人間に見えるかい?」
呆れながら口にする由紀子に、「てへへへ」と照れ笑いする理亜。
「因みに、そいつの料理は、食中毒を引き起こすんじゃないかってくらい、激マズだ」
「あんた! 年寄りを殺すきかい⁉」
「ぐげえーー!」
目を細め、棒読みで理亜の欠点を口にする奏根。
由紀子はカンカンになった、ギャグマンガの様に顔を真っ赤にし、理亜にスリーパーホールドを決めると、たまらず奇声を上げる理亜だった。
そこで、タイムアウト終了のブザーが鳴る。
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