
第六章 レッツパーティー 一話
理亜と豪真が奏根のマンションに着くと、高貴が出て対応してくれた。
「お待ちしておりました」
「待たせたな」
「ヤッホー。高貴ちゃん」
高貴が玄関で迎えると、豪真は親し気に挨拶をする。
理亜は元気いっぱいと言う様子だった。
奏根のマンションの内装は、床は全てフロントで、壁のタイルもおしゃれな感じだった。
高貴に案内されるがまま付いていき、リビングに着く理亜と豪真。
「あ、来た。来た」
「お。お疲れ様です」
智古はにっこり笑い、加奈は相変わらずおどおどしている様子だった。
「ヤッホーみんな」
「あーあ。うるせえのが来たよ」
テンション上げ上げな理亜に対し、呆れてやれやれ、と言った様子の奏根。
奏根はキッチンで料理をしていて、智古がテレビを見ていて、加奈が同人誌を描いていた。
「奏根ちゃんは相変わらずだね。略奪愛でもされたの?」
「うっせえ! それ以上言うと、そこらで刈ったアリの味噌煮込みでも食わすぞコラ!」
「あーごめんごめん」
理亜のデリカシーの無い質問に半ギレしてツッコむ奏根。
理亜は、若干焦りながら謝罪する。
「手伝おうか?」
「いやいい。そこらで勝手にくつろいでろ」
ぴょこっ、と顔を奏根の前に出すように申し出るが、ぶっきらぼうに断られた理亜。
奏根はどこか優しい一面を持っている。
「奏根ちゃんなりにこだわりがあるのよ。料理する時は、いつも一人でやるのがポリシーなの」
「へえ」
智古が少し離れた所から説明してきたので納得した理亜。
「それより皆さん。せっかくだし、トランプでもしませんか?」
「いいね。やろやろ♪」
高貴が懐からトランプを出しながら、上品に提案してくると、理亜が満面の笑みで快諾した。
「そうだ奏根。明後日、私の診察室へ来てくれないか? 手の傾向を見ておきたい」
「あいよう」
豪真が奏根に向かってそう言うと、奏根はノリがいいように承諾する。
「ねえ。奏根ちゃんて、親父っぽくない?」
理亜が片手で唇を隠しながら、こそこそと、智古と加奈にそう言う。
「アリの味噌煮込みだけでなく、ドジョウの踊り食いでもさせたろか⁉」
「ああー! ごめんてば!」
奏根がブチ切れる寸前の所で、理亜は焦りながら謝罪する。
智古と高貴と豪真、そして理亜が大富豪をしていた。
加奈は締め切りまじかのため、急いで同人誌を描いていた。
「よし、革命!」
「「えー!」」
智古がスペードの六を四枚だし革命を起こす。
理亜たちはうなだれるように憂いる声を出す。
すると、高貴がバラエティー番組に一瞥する。
「まあ! この殿方! 手を直接股の中に入れ、人差し指を絶たせてますわ」
お笑い芸人が品の無い芸を披露している所を、高貴が食い入るように見始めた。
品性が欠けるお笑い番組が好きな高貴。
そこで、魔が差したのか、理亜は隣にいた高貴の手札が見えたので覗き見る。
すると。
「理亜ちゃん! ファアルー! 大貧民確定―!」
「えー! そんなー!」
智古がスポーツの審判役みたいな感じでビシッ、とした判定を理亜に下す。
理亜はたまらず叫ぶのだった。
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