
第四十三章 応酬の行方 二話
そうこうしている内に、試合は進み、点数は、二十一対四十七。
とてつもない点差が出来てしまった。
飛翔が、明鏡止水、抜刀、一の太刀で、エノアたちからボールを奪うと、透かさず遥にパスをする。
そこからエブリデイ・イン・ホールを発動させ、一瞬にしてリングのネットをボールは潜る。
第二クォーターも残り五分を切る。
「そろそろじゃん」
そこで、ボールをハーフラインで手にしていた静香が、ぼそりと呟く。
遥は、何のことか分からなかったが、警戒だけは怠らなかった。
そこで、理亜と聖加が駆けつけ、遥と静香の間に割って入ると、静香を囲うようなディフェンスをする。
「後は任せたよ。静香ちゃん」
「ぶっ飛んだの一発、かましちゃって!」
理亜と聖加が遥と代野、賀古を静香に近付けさせない様、スクリーンをかける。
「任せるじゃん!」
静香は、ボールを片手に手に取ると、ボールを天井に掲げ、ブンブン振り回す。
「まさか」
静香の狙いをいち早く気付いた銅羅は、目を剥く。
「シズコラシュ―ト!」
静香は円を描く様にブンブン振り回してたボールをそのままリングに向け投擲する。
宙に投げられたボールは、縦横無尽に動く、奇怪な蛇の様な動き。
流石の飛翔も、明鏡止水、抜刀で、防ぐ事は出来ないと判断してしまい、悔しそうな表情を見せる。
そして、シズコラシュ―トは見事決まり、二十六対四十七。
点差は相変わらず縮まらないが、巻き返しのチャンスが見えてきた。
「やったじゃん!」
「ナイッシュー♪」
静香とエノアがハイタッチする。
すぐさま、遥にパスが回ると、遥はハーフラインから、静香の前で、ボールを見せびらかす様に目の前にまでボールを上げると、ボールは、ふと消える。
それに気付いた高貴は、リングの下から跳躍し、ボールがフッとリングの真上に現れたタイミングを見計らい、リングの上でボールをカットしようとした。
しかし、その手は空振り、点が追加されてしまう。
二十六対五十三。
劣勢に立たされる理亜たち。
「こっちも五点で行くじゃん!」
気合十分な静香は、パスを受け取ると、ハーフラインからシュートを打とうとした。
すぐに、静香のシズコラシュートの妨げにならない様、理亜とエノア、聖加が鉄壁の壁になる。 シズコラシュートは、打つまでタイムラグが生じてしまうため、必ず、スクリーンをかけてくれる味方が必須なのだ。
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